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■まれにみる激戦模様のダートG1
いつくるかいつくるかと気を揉んでいたダート界の世代交代が、いよいよ現実味を帯びてきた。

これまで「当番制」で順繰りにG1を取り合っていた古豪たちに陰りが見え始めている。

コパノリッキー、アウォーディー、ゴールドドリーム…もちろん彼らの最後の一花は侮れないものの、やはり注目は新興勢力にうつってしまう。

その最たる存在がロンドンタウン（牡4・牧田厩舎）である。

前走韓国にまで遠征し、地元馬をぶっちぎって楽勝して見せた走りは、本格化を予感させるもの。

「4歳秋ではまだ若い」と侮っていると、すんなりG1タイトルまでかっさらわれるかもしれない。

■距離を伸ばして頭角現す
ひとつ上の兄・シャンパンサーベルの影響もあったのか、ロンドンタウンはダートの短距離線からデビューし、実際3歳夏までは中距離が良さそうにも見えなかった。

ところが昨秋の中山で条件戦を卒業したあたりから、中距離の差し馬としてグッと安定感が増す。

秋競馬の最重要ステップである武蔵野S、東海Sこそ歯が立たなかったものの、翌2月の佐賀記念であっさり重賞ウィナーに。

使い詰めで春後半は精彩を欠いたが、リフレッシュしたエルムS、コリアCを連勝し、ついにG1挑戦権を獲得したというのが今の立ちどころだろう。

短距離出身らしく時計勝負にめっぽう強く、スッと先行できて内でも我慢できる優等生ぶり。

パワーよりはスピードが生きる馬場向きで、ひと雨あればなおいいはずだ。

■自身の毛色のミステリー
血統面でもかなり特殊な馬で、まずたくさん見えるクロスは実はほとんどが無効であり、表中で重要な系統は父方のデピュティミニスター、母方のストームキャットくらい。

この馬自身の毛色である「鹿毛」が近い祖先に全くいないのも納得で、唯一生きたノーザンダンサー系のクロスによって鹿毛が発現した可能性がある。

大種牡馬ノーザンダンサーは、自身もスピード優先のケンタッキーダービー馬であるが、なにしろ5代前の祖先なので、その直接の影響力には疑問があるだろうし、本来ならほかの種牡馬の影響もあってしかりだ。

ロンドンタウンの血統があまりにもスッキリ整理＆凝縮しているので、発現したのかもしれない。とにかくこの馬が「鹿毛」だという現実は、血統マニアなら泣いて喜ぶ「検討課題」だろう。

■ライバルにも新世代の風が
ロンドンタウンとエルムSで対戦したテイエムジンソク（牡5・木原厩舎）はその後前哨戦のみやこSを勝ち、お互いの評価を高めることとなった。

また重要ステップ武蔵野Sからは、勢いのある3歳馬サンライズソア（牡3・河内厩舎）がスタンバイ。

この新顔3頭が今年のチャンピオンズCをかき回せば、あるいは一角崩しがあるやもしれず、また今回はないにしても、来年こそは彼らを中心にダート界に新風が吹くこと間違いなしなのである。