北海道の北東600キロに位置する千島列島のマトゥア(松輪)島で今月6日から7日にかけて、芙蓉山が噴火するようすを欧州の地球観測衛星がとらえた。
最後に噴火した2009年には、広い範囲に火山灰が拡散し、航空機の運航に大きな影響を及ぼした。
ロシア語で「サリチェフ山」と呼ばれる芙蓉山は、かつてアイヌ民族が行き来していた千島列島の中でも最も美しい火山だと言われる。
最後に噴火があった2009年6月には、推定高度16キロまで噴煙が到達し、ロシア沿海州からサハリンにかけて火山灰が飛散し、北回りの欧州路線や太平洋路線の航路で欠航が相次いだ。
このときの噴火では、島の広範囲に火砕流が流れて、そのようすは、地上400キロを飛ぶ国際宇宙ステーション(ISS)でも確認できた。
8年ぶりに発生した今回の噴火は、前回ほど規模は大きくなかったものの、欧州の地球観測衛星センチネル2が観測していた。
衛星画像を拡大すると、北側の斜面には、長さ1600メートルほどの黒い帯状の影が見え、溶岩流が発生した可能性が高い。
ロシア科学アカデミー極東支部海洋地質学研究所(SVERT)が今年6月、火口周辺の現地調査を行った際は、火口の底いっぱいに溶岩が盛り上がっているのを確認したが、この時は火山活動の兆候は見受けられなかったという。
マトゥア島は戦前まで日本領で、旧日本海軍が飛行場を建設し、最大で7000〜8000人規模の守備隊が置かれていたが、敗戦後はロシア領となり、1990年代までは国境警備隊が駐留していたが、現在は無人島になっている。
■国内の火山の現状については、ハザードラボ「火山マップ」をご覧ください。
【日時】2017年11月22日(水) 14:08
【提供】ハザードラボ