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ウシオ電機が、8月26日に開かれた製品発表会にて、人体に影響なくウイルスを紫外線で殺菌できる光源「Care222(TM)」（以下Care222）を発表した。発表会では、東芝ライテックと提携することも伝えられた。

Care222とは

本来の殺菌用紫外線は人体に有害なため、有人環境下での使用は避けられている。だが、このCare222は特殊フィルタを組み合わせたことで、人体への無害化を成功させた。

殺菌用紫外線は新型コロナウイルス（COVID-19）やノロウイルス、炭疽菌や枯草菌で知られる芽胞菌にもその効果を発揮するという。光源として作用するCare222は、物の表面や空間全体にその効果が作用するのだ。

生体への安全性の根拠は

なぜ、Care222は人体に無害だと言えるのか。それは人体に有害な波長帯を見極めてカットしたことが大きい。なお、Care222の222は、人体に無害な波長である222ナノメートルの紫外線に由来している。

理論上の安全だけでなく、人体や動物に直接使用することによる、無害の証明も実験済である。Care222の運用により、さらに実用データは増えていき、その信用性の高まりが期待される。

開発経緯

Care222は新型コロナウイルス問題解決のために急遽開発されたわけではない。2013年にブレナー博士が発表した特定波長に関する論文を、ウシオ電機の五十嵐氏が読んだことがきっかけである。それから7年の時を経て、Care222は完成したのだ。

本来は2021年に販売予定だったが、新型コロナウイルスの流行によって、一年前倒しで開発したという。2020年8月時点で、先行設置も開始されており、東芝ライテックの協力により、空間インフラはもちろん、車載用光源や航空機、船舶への設置も進めていく予定だ。

今後の展開

Care222は東芝ライテックの販路をもって、日本全国へと普及させていく予定となっている。だが独占契約ではないため、協業企業はこれからも増えていく見通しだ。なお、月に200台から300台の生産が可能であり、ひとつの施設で複数台の設置が想定されている。

半年で2000件の問い合わせが来ており、今後は医療施設を優先として、学校施設や飲食施設にも設置していく計画だ。個人宅への普及は随分と先になりそうである。

光源によって殺菌できる仕組みであるため、施設への設置は天井への埋め込みが基本になる。将来的にはAIによって人間を視認して照射するシステムも構想にあるという。そうなれば、より高い効果が期待できる。

実現は先になるが、ドローンへの組み込みも研究中だ。街中を紫外線殺菌して回るドローンが飛び交う時代がやってくるのだとしたら、とてもSF的で夢が広がる。紫外線殺菌は、対象のDNA/RNAを直接破壊する性質であるため、抗生物質なら現れる耐性菌が現れるリスクが低く、滅菌時代がやってくるかもしれない。

ウシオ電機の内藤社長と大橋プロジェクトリーダーにインタビュー

今回の発表会の後、内藤社長と大橋プロジェクトリーダーにモトタキ記者がインタビューを実施した。

——巷で遠紫外線での殺菌の話が出ていますが、実際、あれは危険はないのでしょうか。

大橋プロジェクトリーダー：遠紫外線だけでは、いろいろなものがそれに当たる曖昧な言葉だと言えます。その中には危険なものもあるので注意が必要です。人体に安全な紫外線は200ナノメートルから230ナノメートル。そこを外れると人体にとって有害です。

——新型コロナウイルスへの効果の意気込みをお聞かせください。

内藤社長：2021年に販売予定だったものを前倒しにしています。つまり、弊社としては、設備投資もしました。それほどまでに新型コロナウイルスへの効果はあると信じています。これからもエビデンスは出てくるでしょう（※）。

大橋プロジェクトリーダー：今はまだ感染者が減ったというデータがない状況なので言い切ることはできません（※）。しかし、感染を防ぐ効果があるのは事実としてあります。これは研究者としても期待しています。

実際の効果に関してはこれからを待つしかない（※）。だがウシオ電機の面々は絶対の信頼を寄せているようだ。これは期待したくもなる。技術自体の競合他社は、最低5年か、あるいは10年は似た技術は出てこない見通しだそう。Care222の力で新型コロナウイルスの脅威に怯えない未来に近付ける。そんな希望の光になってくれそうだ。

※インタビュー実施後の2020年9月4日、広島大学より「Care222」を用いた新型コロナウイルスの照射実験において、不活化効果を確認したとの論文が発表された。