バブル経済が崩壊した1990年代以降、日本人の平均年収は「400万円台」から30年間ほぼ変わっていない。しかし、自身の“市場価値”を把握し、世界を相手に適正年収で働く日本人も存在する。果たして、我々日本人の値段とは――。
適正年収を華麗にジャンプアップすることが叶わなくとも、物価が安い国を舞台にすれば、QOLを基準にした体感年収を倍以上にすることも可能だ。
6年前、日本企業と現地メーカーの合弁会社に現地採用された清村良和さん(仮名・55歳)もその一人。清村さんの前職は、社員50人ほどの金属加工会社。
高校卒業後、工場作業員として約30年間働いていたが業績悪化に伴い規模縮小となり、早期退職者募集に応募したそうだ。
「バツイチで独り身でしたし、養育費を払っていた息子もすでに成人していました。実は、タイに転職した工業高校時代の友人がいて、以前からそいつに話を聞いていたんです。それで南の国でのんびり暮らすのも悪くないなって」
ちなみにタイでは日本人技術者の需要があり、営業や事務などホワイトカラーの仕事よりも好条件のものが多い。前職では年収500万円だったが、それを上回る条件の求人が簡単に見つかったという。