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「共産党はなくなったらいい」。日本維新の会代表・馬場伸幸の放言が話題になっている。「政治家が犯罪に手を染めているのではなくて、犯罪者が政治に手を染めていると言ったほうが適切かもしれない」。維新の本質をそう喝破した適菜収氏は、政治劣化の源流を小沢一郎による政治制度破壊と新自由主義路線であると見ている。新刊『安倍晋三の正体』で憲政史上最悪の総理大臣を分析し、正体を暴いた著者の「だから何度も言ったのに」連載第44回。

◾️信仰は目を曇らせる

　安倍晋三の銃撃事件を巡り、市民からの反対を理由に現場での慰霊碑設置を見送った奈良市長に殺害予告メールを送ったとして、愛知県稲沢市に住む無職の61歳の男が脅迫の疑いで書類送検された。警察によると、男は奈良市のホームページを通じて、市長に対して「安倍元総理の慰霊碑建立に反対とは貴様何様のつもりだ。早くあの世に送ってやるから覚悟しておけ」と述べていた。男は警察の調べに対し、「きつい言葉を並べれば市長が考えを改めるかもしれないと考えた」と答えたとのこと。アホですね。信者も安倍クオリティ。

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　「FRIDAYデジタル」（2022年9月10日）によると、岸田文雄は「国葬は麻生さんが言い出したことだと一部メディアが書いているが、そうじゃない。安倍元首相が亡くなったと聞いたその瞬間、俺が、国葬と決めた。…浅慮だった」と、議員仲間や新聞記者に対し、はっきり言ったとのこと。浅慮で決めたことを強行する国。

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　先日、私は『安倍晋三の正体』（祥伝社）という新書を上梓したが、たくさんの肯定的なメッセージをいただいた一方で、「安倍さんを批判する適菜は極左活動家」といったツイートもあった。さらには、出演してもいない番組における「発言」を非難されたり、「適菜は関東大震災のときの朝鮮人虐殺を肯定している」などと根も葉もないデマを流されたり。アイドルだか教祖だか知らないが、安倍の正体を暴露され、プンプンと怒るのはまだ理解できる。自分の「世界観」が切り崩されそうになり防衛機制が発動するのもわかる。でも根も葉もないデマを流すという感覚がよくわからない。むしろ逆効果。「そういうレベルの人たちに安倍は支持されてきたのか」と一般社会から判断されるだけ。

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　中にはこんな趣旨のツイートもあった。

「安倍さんが商品取引の法律を強化して霊感商法の被害が激減したのは無視か？　都合の良い所だけ摘んで繋げてストーリーを作り上げる。韓鶴子が岸田に教育を受けに来いということは思い通りに動いてないって事だと何故認めないのか」

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　要するに、頭の中が更新できていないので、デマ屋の門田隆将みたいに真逆の意味に受け取ってしまう。門田によると、安倍は統一教会の天敵だったとのこと。

　門田いわく《“安倍氏は統一教会の天敵”との論を撤回せよ、との意見がよく来る。だが事実は1つ。同会の霊感商法や朝日の慰安婦強制連行捏造報道で始まった16万人の“日本女性特別修練会”を嫌った安倍氏は消費者裁判手続特例法と消費者契約法改正で霊感商法を狙い打ち。ピーク時164億円の被害額は3億円に。これが事実》（2022年8月28日ツイッター）

　2013年の消費者裁判手続き特例法は、悪徳商法を対象にしたものだが、消費者庁が挙げた対象例に霊感商法への言及はない。つまり統一教会被害を想定して作られた法律とはいえない。また、2018年の消費者契約法改正において安倍内閣が最初に提出した法案には「霊感商法」の文字は記載されていなかった。初案では、救済の対象となるのは「社会生活上の経験が乏しい」若年層に限定されており、高齢者の被害は救済の対象にならないという内容だった。

　これに対し、立憲民主党の尾辻かな子議員らが「おかしいではないか」と追及し、衆議院での審議を経て霊感商法対策が加えられたというのが経緯。

　全国霊感商法対策弁護士連絡会は、安倍が統一教会の広告塔となっていることを憂慮し、安倍に公開抗議文を送付している。しかし、安倍の国会事務所は受け取りを拒否。山口県内にある地元事務所の返答もなかった。同連絡会の弁護団は、第二次安倍政権が発足した2012年12月以降、それまで相次いでいた教団関与の刑事事件が極端に減ったことをあげ、教団に対する警察捜査に安倍政権が政治的圧力をかけていた可能性に言及している。

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　　2021年9月12日、安倍は天宙平和連合（ＵＰＦ）が韓国で開催したイベント「THINK TANK 2022希望の前進大会」にビデオ登壇し、団体への賛美と総裁の韓鶴子を礼讃するメッセージを送った。

「今日に至るまでＵＰＦとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きを警戒しましょう」

　UPFは統一教会の開祖である文鮮明と妻の韓鶴子が2005年にニューヨークで創設したＮＧＯ組織である。つまり、安倍は自分が統一教会の価値観と同じであることを表明し、敵を「警戒しましょう」と共闘を訴えたのだ。これが事実。

虚構とチェリーピッキング

「都合の良い所だけ摘んで繋げてストーリーを作り上げる」人間が増えてきた。デマ屋が暴走し、言論の基盤が破壊されてきた。その結果が現在の日本の惨状である。

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　人間は判断を間違える。アメリカの政治評論家ウォルター・リップマンが指摘するように、「虚構が切実に求められているために、虚構が真実と取り違えられる」からだ。

《公共の事柄に対する意見は社会の正常な成員によるものだけではないし、また選挙、宣伝、支持者集団のためには数が力となるものであるから、注意の質はなおさらに低下する。読み書きのまったくできない人たち、精神薄弱者たち、たいへんに神経質な人たち、栄養不良の人たち、欲求不満の人たちからなる大衆の数は相当に大きい。われわれがふつう想像しているよりもはるかに大きい、と考えても無茶ではない。したがって、幅広い大衆への訴えは、精神的には子どもで、野蛮な人たち、生活が順調でなく困窮している人たち、生命力の使い尽くされた人たち、引きこもっているばかりの人たち、論争中の問題に含まれている要素を一つも経験のなかにとり込んだことのない人たちの間を経めぐる。公共の事柄に対する意見の流れはこうした人たちのところでせきとめられて誤解という小さな渦を作り、そこで偏見とこじつけの類推によって変色させられる》（リップマン『世論』）

　プロパガンダは、こうした人々の「連想の質」を計算してつくられる。

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　大昔から私は何度も言っているが、小沢一郎を信用してはならない。小沢は7月15日放送のABEMA「NewsBAR橋下」に出演。橋下徹に対して、「これだけリーダーシップを持った人が政治活動から身を引くのはよろしくない」「（橋下は）維新をつくったわけですから途中で投げ出してもらっちゃ僕は困ると思ってる」と発言。結局、小沢の自民党破壊、国家破壊、政治制度改革などを含む「日本改造計画」が、その後、30年以上の大混乱を引き起こしたという話。安倍政権や維新という惨事も、その延長線上にある。

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　日本維新の会の馬場伸幸は動画番組で「第1自民党と第2自民党が改革合戦をして国家・国民のために競い合うことが、政治をよくしていくことにつながる」と述べ、自民党と維新の会が政権の座をかけて争うべきだと強調したとのこと。もはや悪党は正体を隠さなくなった。

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　また馬場は、共産党について「日本から無くなったらいい政党で、言っていることが世の中ではありえない。空想の世界をつくることを真剣に真面目に考えている人たちだ」と批判。空想の世界をつくろうとしている花畑は一体どちらか。「都構想」という名の大阪市解体のスキームにおいて、連中は住民投票が通れば、ニューヨーク、ロンドン、パリ、上海、バンコクと並ぶ大都市になると繰り返していた。しかし政令指定都市である大阪市が解体されたら、金欠により都市計画も進まず、ニューヨーク、ロンドン、パリどころか、町や村以下の特別区になることになっていた。

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　立民、共産両党は猛反発していたが、これまで維新を甘やかしてきたツケ。きちんと懲らしめたほうがいい。