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パン屋の開業には、通常1000万円~2000万円程度の資金が必要です。これを自己資金で用意できない場合、日本政策金融公庫などから融資を受けることになるでしょう。ところが、3年で廃業してしまったら、ばく大な借金だけが残ってしまう事態にもなりかねません。だからこそ、失敗しないための対策が必要になってくるのです。
そもそも、このような多額の開業資金は、どんな用途に使われるのでしょうか。
パン屋は、開業資金に占める厨房設備費と内装工事費の割合がとくに高い事業として知られています。このうち、厨房設備は、店舗面積の50%ほどを占めるパン屋の中核的な施設で、業務用パンオーブンや業務用ミキサー、発酵器や冷蔵庫などが含まれます。これらの設備は購入するかリースによってそろえることになるでしょう。リースなら初期費用や不要になったときの処分費が発生しませんが、全体でみると購入するより多くの費用がかかります。また、途中で解約すると違約金が発生し、所有権がないのもネックです。しかし、すべて新品で購入するとなると1000万円以上かかることもあるので、状況に合わせた判断が必要です。
一方、内装工事では客層に合わせたデザインにすることがポイントになります。その客層を把握するために、開業前に市場調査やテスト販売などを実施するのも良い方法です。
開業にはそのほか、物件取得費やチラシ作成費、ホームページ作成費なども必要です。意外と忘れがちなのが、水道光熱費や仕入れ費用、人件費などの変動費です。これらの費用をすべて洗い出し、綿密に事業計画を立てたうえで、パンの価格設定をしていかなくてはなりません。ところが、「なんとかなるだろう」と安易に考えて、パン屋の開業に踏み出す人も少なくありません。そのような計画性のない開業では、失敗の確率が上がります。