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大航海時代に世界一周を敢行し、フィリピン・セブ島に寄港したマゼランが隣のマクタン島で戦死して2021年は500年目ということで、フィリピン中央銀行は記念の5000ペソを発行した。

これまで、市中に出回っているフィリピンの最高額紙幣は1000ペソであり、発行する5000ペソは収集家向けの記念紙幣として1000枚しか発行していない。

マゼランと戦って勝利したのは当時マクタン島を支配していたラプラプで、近年になって同人はアジアの人間としてヨーロッパ人に最初に勝利した人物として評価が高く、各地に銅像などが造られている。

また、そのラプラプに因んで命名されたラプラプ市にはマクタン・セブ国際空港があり、フィフィリピンを代表するリゾートの出入口となっている。

ところがコロナ禍でマクタン島のホテルやレストラン、観光に携わる業界はどん底に見舞われている状態で、同様に日本企業が多く進出している特別経済区でも倒産や撤退する企業が出ている。

その不景気感を払拭しようと、ラプラプ市は5000ペソ記念紙幣を毎年4月末に行われる記念行事に参加した観光客に対してプレゼントする計画を発表した。

発表によると既に200枚を予約したとのことで、市長以下張り切っているが、現在のコロナ感染状況では果たして行事そのものが開催出来るのかと危ぶまれている。

実際、毎年1月に行われ数百万人が押し掛けるマニラの『ブラック・ナザレ』巡行の中止、同月の第3日曜日にセブで開催されるフィリピンでも最大級の祭り『シヌログ』も中止となっている。

記念紙幣ということで仕舞い込まれて市場で通用することはないが、5000ペソというのはフィリピンでは一ヶ月の収入に該当する人も多く、貧困問題と絡めて紙幣発行を批判する人も多い。