東京都中央区の歯科医院「飯野歯科」でインプラントの手術を受けた目黒区の女性=当時(70)=が死亡した事故で、警視庁捜査一課と中央署は一日、業務上過失致死の疑いで、手術を担当した同院経営者の男性歯科医師(67)を書類送検した。
同課によると、医師は五本分の人工歯根を埋めるため、女性の下あごの五カ所をドリルで貫通させており、同課は標準的な手術ではないと判断した。医師は「自分としてはミスがなく、過失があったとは言えない」と容疑を否認している。
送検容疑では、二〇〇七年五月二十二日午後、下あごの骨の下には動脈が通り、骨を削る際は貫通しないようドリルの角度や深さを調整する必要があったが、注意義務を怠り、女性の下あごの骨をドリルで貫通させて動脈を切断、口内の大量出血を引き起こし、女性を翌二十三日に窒息死させたとされる。
同課が複数の専門家らに意見聴取したところ「骨を貫通させてもよい」とする意見は得られなかった。医師は「骨の下に動脈が走っていることを認識していなかった」と動脈を切断することを予見できなかったと主張しているという。