■サンドイッチ理論の道半ばにおいて
先週は札幌開催が雨のため「重〜稍重」とはいいつつ、時計が普段より3秒近くかかる「洋芝あるある」になってしまった。
これが回復傾向になると、幅広い持ちタイムを比較できて「サンドイッチ理論」がうまく使えるのだが、あいにく2000Mで2分03秒もかかる馬場だと、「…どの馬もサンドイッチできんやんけ、コラ」ということになる。
そう、走破タイムが遅すぎるのである。
しかし、それじゃあ面白くないと考えるのが馬券ファンのしつこいところ。
ちょっと視点を変えてみた。
■どんな持ちタイムの馬が上位に来るか
重すぎる芝コースでは、どの馬のタイムもそのままでは参考にならない。
ところが
▼当日どんな走破タイムを持った馬が上位に来ているか
こういう視点でもう一度レースを見ると、あながち五里霧中というわけでもない。
不思議なことに、馬場が重くなりすぎると「一周して基本に返って」走破タイムの遅い馬は有利にならない。
つまり、
▼パワーを必要としすぎる馬場は、結局全馬が走りづらい
からだ。
そのときに、どんな持ちタイムの馬が馬券に絡むか、これを見ようというのだ。
■例を見るとわかりやすい
たとえば8月12日土曜札幌メインレースのSTV賞(重)。
芝1500という札幌にしかない特殊条件で、一見したところ比較のしようもない。
そこでほぼ全馬がタイムを持つ1400で比較してみよう。
1着ツーエムマイスター 1分20秒1
2着アットザシーサイド 1分21秒7
3着ティソーナ 1分21秒2
4着ヒルノマゼラン 1分21秒5
5着マユキ 1分22秒2
…
いかがだろうか。
持ちタイムトップのツーエムマイスターが快勝し、残りの入着馬もほぼタイム順通り。
反対に重馬場でもっと絡んでいいはずの
11着スズカゼ 1分23秒0
13着メローブリーズ 1分23秒6
らは、全く出番なし。
こうしてみると、馬場が悪くなりすぎると元の木阿弥に戻って実力、潜在スピード通りに決まるという「競馬あるある」は、あながち嘘でもなさそうだ。
興味深いのは4番人気で7着に負けたドゥーカ。
この馬、1400の持ちタイムだけなら1分21秒0と全体でも3番目でありながら、さらに札幌1500のレコードホルダーでもあるスピードタイプ。
こういう「札幌を速く走りたい馬」はこの日のような馬場がダメという結論でいいだろう。
ご当地を速く走るスキルは、ご当地の環境に大きく左右される。
この日は馬券も買わずにじっとタイム比較三昧の一日だった。
そのかいあって、ダメかと思っていた新潟でもうっすら薄日が指す傾向が見えたので、それはまたの機会にお話ししたい。
【日時】2017年08月21日(月)
【提供】YAZIUP