ブラジルで今月17日、20を超す食肉加工業者が衛生基準を満たしていない食肉や加工品を国内外に販売していた不正事実が明らかになった。
年間41万トン余りの輸入鶏肉のうち、9割近くをブラジルに依存する日本へも影響は必至だ。
ブラジル農業畜産省(MAPA)によると、この問題は同国の食肉加工業者21社が、食肉検査官や管理官などに賄賂を支払うことで検査を逃れ、衛生基準を満たしていない食肉や加工品を、国内外に販売していたというもの。
同国の連邦警察とMAPAは、今月17日にサンパウロやブラジリアなどの食肉処理場などに立ち入り捜査を行い、30人以上の身柄を拘束し、調べを進めている。
事件を受けて、欧州連合(EU)や中国などの主要輸入国が真っ先にブラジル産鶏肉の輸入禁止措置を発表。
昨年、汚職事件で罷免されたルセフ前大統領に変わって、テメル大統領率いる新政権に変わったばかりのブラジルにとって、この汚職事件が主要産業である食肉輸出に悪影響を及ぼし、経済回復の足を引っ張る枷になるのは是が非でも避けなければならない。
一方、この事件を受けて、日本の農林水産省と厚生労働省も21日、ブラジル連邦警察が捜査中の食肉加工業者からの輸入手続きを検疫段階でいったん止める措置を決定した。
農水省によると、日本国内での鶏肉供給量に占める年間輸入量は、全体の2割近い40〜50万トンで推移しており、2004年に中国とタイで鳥インフルエンザが大流行して以来、輸入国をブラジルに切り替え、ブラジル産の鶏肉が輸入量全体の9割近くを占めているという(2013年度調べ)。
現時点では、衛生基準を満たしていない食肉がどれくらいの期間にわたって、どれだけ流通していたかは判明しておらず、影響の拡大は必至だ。
【日時】2017年03月22日(水) 11:01
【提供】ハザードラボ