総務省はふるさと納税による寄付のうち、自治体の財源にはならない経費総額を公表していない。
8月発表の現況調査では、返礼品や仲介サイト手数料など募集の経費は4517億円で46.8%だった。
だが、寄付者の確定申告を不要にする手続きや証明書発行などの委託費を集計しておらず、外部の業者にどれだけ支出されたかは不明だ。
同研究所が総務省調査や自治体のヒアリングを基に総経費の割合を試算したところ、
寄付額の55.6~59.6%という結果となった。
総経費から返礼品を除いた分を地域外の業者への支出額とみなすと、25.6~29.6%となり、22年度の総寄付額に当てはめると、2471億~2857億円に上る。
外部への支出の内訳は仲介サイトの手数料が平均で寄付額の10%、返礼品の送料が7.6%だった。コールセンターや証明書などの委託費は8~12%を占めるという。
◆「一番得をしているのは都市部の大手業者」
ふるさと納税の経費については、総務省が今月から寄付額の5割以内に収める規制の徹底を求めている。
自治体の中には、返礼品の内容を変えず寄付額を値上げしたり、質を下げたりして寄付者への還元縮小をするところもある。
外部業者への支出を減らさなければ自治体の財源減少だけでなく、寄付者へのしわ寄せも大きくなる。
同研究所の大野博堂氏は「ふるさと納税制度で一番得をしているのは、仲介サイトや委託業務を行う都市部の大手業者だ」と指摘し、「寄付金が地域外に流出しないよう工夫するべきだ」と話す。
自治体の自前作業や政府による共通の仲介サイト構築のほか、地元業者への委託変更などを求める。
外部業者への支出について、総務省の担当者は本紙の取材に「経費を寄付額の5割以内、返礼品を3割以内に収めるため、自治体は業務を委託するのか自ら行うのか最適な対応をしてほしい」と話した。
一方、一部の経費を集計していないことについては13日までに回答を得られなかった。