生物の「五大大量絶滅」のうち、4億4500万年〜4億4300万年前に起きた最初の絶滅は、火山の大噴火で引き起こされた寒冷化が原因だったとみられる、と東北大学と米アマースト大学の研究グループが発表した。
地球上では生物の大絶滅は5回あったとされているが、最初の原因についてはこれまではっきりわからなかった。
地質時代に起きた五大絶滅は「ビッグ・ファイブ」とも呼ばれている。
最後の絶滅は、約6600年前の白亜紀末に起きた恐竜の絶滅で知られており、この原因については巨大隕石の衝突説が有力視されている。
3回目と4回目の大絶滅は、火山の大噴火によって寒冷化が起きたのが原因だと見られているが、4億4500万年〜4億4300万年前のオルドビス紀末に、三葉虫やサンゴ類などの海洋生物が大量に絶滅した最初の大絶滅の原因については、2回目の約3億7400万年前の大絶滅原因とともに未解明だった。
東北大大学院の海保邦夫教授と米アマースト大学の共同チームは、中国南部と米国西部にあるオルドビス紀末の地層から、通常ではほとんど検出されない高濃度の水素を発見。
水銀は、3回目の絶滅期の地層からも見つかっていることから、研究チームは、中国と米国で採取された水銀も、火山の大噴火によって地下のマントルに含まれていたものが空高く放出されて世界中に広がり堆積したと推測。
最初の大量絶滅も巨大火山の噴火によって、水銀とともに二酸化硫黄ガスが大量に放出されて成層圏で硫酸に変わり、太陽光を遮断し、寒冷化をもたらしたというシナリオを導き出した。
なおこの研究成果は、地質学専門誌『Geology』に掲載された。
【日時】2017年05月13日(土) 07:00
【提供】ハザードラボ