EUでは昨年来、はしかが大流行しており、イタリアやルーマニアでは死亡する人も増えていることから、厚生労働省が夏の海外旅行から帰国した人に対して、注意を呼びかけている。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、EU内では現在、ラトビアやノルウェー、リヒテンシュタイン、マルタ島を除くすべての国ではしかが大流行している。
8月第3週の時点の調査では、イタリア国内で4087人、ルーマニア6486人と、それぞれ昨年1年間の3〜5倍にあたる患者数が報告されている。
特にルーマニアでは、昨年の12人に続いて、今年はすでに20人が死亡しており、このほかイタリア3人、ブルガリアやドイツ、ポルトガル、フランスでも死者が報告されているという。
日本は2015年、WHOから「土着ウイルスが36カ月以上検出されなくなった」として「はしかの排除状態にある」と認定を受けたばかりだが、安心してはいられない。
昨年8月、関西空港に勤務する従業員30人近くが集団感染したケースは記憶に新しいが、今年もすでに全国の定点医療機関からは172人の感染が確認されている。
国立感染症研究所の最新のまとめによると、患者数が多い都道府県は山形県(53人)、東京都(23人)、三重県(22人)、広島県(11人)と、必ずしも人口が多い地域に集中しているわけではないから注意が必要だ。
感染したと考えられるのは、インドネシアやタイ、カンボジアなど海外渡航先がほとんどで、年齢層は、ワクチンの予防接種の有無が不明だったり、0〜1回の若い世代が半数を占めるという。
国内でのはしかの感染件数は、国立感染症研究所が調査を始めた10年前の2008年には1万人以上だったが、5年後には280人に激減。
この背景には、2006年以降、ワクチンの定期接種回数が、従来の1回から2回に増えたことが効果を発したと考えられているが、それ以前に生まれた世代では、感染リスクが高いと懸念される。
はしかのウイルスは感染力が非常に強く、免疫が弱い人が感染すると、肺炎や中耳炎を起こすことがあり、先進国であっても1000人にひとりが死亡すると言われることから、厚労省は予防接種歴をはじめ、帰国後の健康状態についても十分にチェックしてほしいと呼びかけている。
【日時】2017年08月23日(水) 17:43
【提供】ハザードラボ