イタリアナポリ近郊に位置する「火山の巣」と呼ばれるフレグレイ平野で12日、観光に訪れたイタリア人家族3人が火山噴火口に落ちて死亡した。
生き残った7歳の息子の目の前で悲劇が起こった。
ナポリの西に広がるフレグレイ平野は、約4万年前の噴火でできたカルデラ盆地で、湾岸線に沿って24個の噴火口が並んでいる。
イタリア語で「燃え盛る平原(Campi Flegrei)」を意味する名のとおり、噴気孔からは硫酸や硫黄を含んだ蒸気が何本も立ち上っており、「地獄への入り口」が見られるとして、人気の観光地だ。
海外メディアの報道によると、ヴェネツィア近郊メオロに住む40代の夫婦は、夏休みを利用して11歳と7歳の息子ふたりを連れて、12日に現地を訪問。
11歳のロレンソ少年が立ち入り禁止区域のフェンスを乗り越えて、ソルファタラ噴火口を覗き込もうとした瞬間に、クレーターの壁が崩れ、直径3メートルの穴に転落。
息子を助け出そうとした父親に続いて母親も噴火口に落ちて、有毒な火山ガスを大量に吸って意識を失い、死亡したという。
救助隊員が3人の遺体を回収したが、噴火口の中は泥が熱く煮えたぎった状態だったという。
カンピ・フレグレイ公園当局によると、現場周辺は液状化していて地盤がもろいため、観光客が近寄らないよう、フェンスやネットで仕切っているが、簡単に乗り越えられる状態だという。
近年、フレグレイ平野は火山活動が活発化しており、1982年以降、カルデラ内に位置するポッツォーリの町では、最大110センチの地盤の隆起が観測されたほか、2012年には200回を超える群発地震が発生しており、火山学者の間では、地下の熱水系の加熱が進んでいると指摘している。
イタリア国立地球物理研究所は、地下のマグマから放出されるガス圧から、いつ噴火が起きてもおかしくない臨界状態に近づいているとして、24時間体制で監視を続けている。
■国内の火山の現状については、ハザードラボ「火山マップ」をご覧ください。
【日時】2017年09月13日(水) 11:50
【提供】ハザードラボ