古代エジプトのピラミッドで発掘作業を続けるスイスとフランスの調査チームは、エジプト古王国最後のファラオ、ペピII世の母である女王アンクネスペピII世を祀った記念碑の先端部と女王の頭部の像を発見したと明らかにした。
女王は先王亡き後、息子の摂政として権力を掌握した「最もユニークな存在」だと考えられている謎多き人物だ。
この歴史的発見を達成したのは、スイスのジュネーブ大学とフランスの合同調査チーム。
古代エジプトの首都メンフィスの埋葬地だったサッカラで発掘調査を進めていた今月13日、女王の墓を祀ったと考えられる、オベリスク先端を飾った「ピラミディオン」と呼ばれる巨大な石を発見した。
「ピラミディオン」はピラミッドと同じ四角錐をした花崗岩で、一辺の長さは1.1メートル、高さは1.3メートルで、かつては黄金か銅などの薄い板で覆われていた痕跡が残っているという。
古代エジプトでオベリスクは、太陽神のシンボルとして頂上部が光を反射して輝くように金属板で装飾されていているものが多く、のちにローマ帝国が侵攻すると、戦利品として略奪されたため、当時の形を保っているものはほとんどないという。
さらに、付近からはほぼ実物大に近い女性の頭部を彫った木製の像が出土した。
首から頭頂部まで長さ30センチほどの木像は、風化が進み、保存状態は良くないが、右側の耳たぶにイヤリングがついており、目鼻立ちの美しさが十分に伝わる。
考古学者のムスタフウワジリ博士は「女王アンクネスペピII世の墓の発見につながるかもしれない」と、発掘作業の進展に期待を寄せている。
アンクネスペピII世は、紀元前2300年ごろのファラオ、ペピI世と結婚して息子を出産。
父王亡き後に即位したペピII世は6歳だったため、母の女王が摂政として、同じ一族出身の宰相とともに実権を握った。
ペピII世は100歳まで長生きし、在位は94年に及んだが、その後、王権が急速に弱体化した。
エジプト古王国最後の女王の墓が見つかれば、王朝終焉の謎の解明に結びつくかもしれない。
【日時】2017年10月28日(土) 07:30
【提供】ハザードラボ