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■事業性が認められる場合のみ雑所得
大阪の男性が競馬で儲けた金について、所得税法違反で国税と検察によって告発・起訴された事件も、もう遠い過去の話のような気がします。

しかし、あの事件の最高裁判決が出たのはホンの2年半ほど前（2015年3月）のことです。

結果は、当然のように馬券収入は雑所得であり、外れ馬券は経費にあたるというものでした。

ただし、あくまでも長期にわたる網羅的な馬券購入実績が、一時的なものではない経済活動であるとして認められたものです。

世間のオヤジが考えるような、トータルでの収支を無視するな！という話とは若干異なります。

そのため、本人にとってはなけなしの金をつぎ込んでの「継続的経済活動」であったとしても、購入するレースを絞っており、金額も少額ということになれば、相変わらず一時所得だとされる危険性が残ります。

ちなみに、ネット上では「ソフトを使わないと認められない」という意見がありますが、購入する目の決定方式が必ずしもソフトである必要はありません。

重要なのは、あくまでも継続的な経済活動と認められるかであり、ソフト以外でも可能性はありますし、ソフトでも駄目だというケースもあるでしょう。

つまり、事業性がポイントですね。

いままた、別件である課税処分の取り消しを求めた他の男性の最高裁判決が12月15日に予定されています。

2審の東京高裁で経費として認める判決が出ており、判決期日の指定だけとなった最高裁の判決は、この高裁判決を支持する以外にないと考えられます。

こちらの事件の考え方も、先の所得税法違反事件と同様に、継続的で網羅的な馬券購入を根拠として一時所得にあたらないとするものです。

■国会議員は仕事しなさい！
さて、ここで重要なことは、下級審においては先の最高裁判決の後も一時所得と認定している裁判例があることです。

裁判官の感覚がおかしいと考えることもできますが、そもそも論として、立法がちゃんとしていれば裁判結果もまともなものになるはずです。

裁判所といえども、法に反する判決を出せないのが法治国家ですから。

もっとも、事件の種類によっては、法に沿うかどうかの判断が裁判官個人の感覚に委ねられているのも事実です。

痴漢冤罪事件などが好例でしょうか。

しかし、馬券の払戻金収入を一時所得とするか雑所得とするかなどという事柄は、定型的な処理の話であり、法定しておけば間違いようがありません。

所得税法は、第34条第1項に「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」と規定しています。

馬券や車券などの払戻金は、宝くじの当せん金と同様に条文中の除外所得の羅列には入っていません。

しかし、宝くじの当せん金で国税が動くことはありません。

なぜなら、周知の通り宝くじは当せん金付証票法第13条の当せん金付証票の「当せん金品については、所得税を課さない。」との規定によって非課税とされているからです。

一方、馬券=勝馬投票券や勝者投票券などの払戻金について、競馬法などの個別根拠法には規定がありません。

国会議員の皆様が国民のために仕事をすれば解決する話です。

競馬法などではなくても、所得税法の34条の羅列に「勝馬投票券などの払戻金所得」の文言を追加すれば済みます。

それをしない限り、最高裁の判例を積み上げるしかないという話になってしまいます。

また、判例主義でいけば、少しでも様相が異なる事件では、結果が変わってしまいかねません。

2017年12月6日に、最高裁が受信契約の義務を定めた規定を合憲と判断してしまったNHK受信料問題における放送法の解釈もそうですが、国会議員は仕事しろ！