住友林業は創業から350周年を迎える2041年を目標に、高さ350mの木造の超高層ビルを建設する計画を発表した。
一般の木造住宅約8000棟分に相当する木材を使うことで、林の再生と地方活性化に結びつけるのが狙いだ。
日本は国土に占める森林面積が約68パーセントと、先進国35カ国が参加するOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でもフィンランドに次いで世界2位であるにもかかわらず、国産材の自給率は3割前後にとどまり、戦後に植林された大量の杉やヒノキの手入れが行き届かないまま放置され、森林荒廃が進んでいる。
住友林業が今回発表した構想は、木材のニーズを高めるために、これらの木を活用し、伐採後は再植林して森林整備を進め、山を循環させることで、CO2の吸収量アップにもつなげるのが目的だ。
高層建築に使う木材は、一定期間使用したのちには、一部を取り替えてメンテナンスし、使用済みの木材は住宅用の柱や梁に再加工することで、都市の中で循環させることができる。
最終的な廃材はバイオマス発電の燃料とすることで、最後まで無駄にすることがない。
建築場所などは未定だが、耐震性を高めるために、一部には鋼材を取り入れるが、全体の9割は木材のハイブリッド構造だ。
柱や梁などで組まれた軸組に、対角線上に筋交いを配置した筒型の構造で、地震や風など横からの力に対して建物が変形するのを防ぐ効果がある。
建物の一番外側はバルコニーが取り囲むようになっていて、超高層建築でありながら、新鮮な外気と木漏れ日を感じられる空間だ。
建築面積6500平方メートル、地上70階建てで、延べ床面積は45万5000平方メートル。
総工費は約6000億円と、従来の超高層ビルに比べればほぼ2倍だが、今後技術開発を繰り返すことで、コストの大幅な削減を目指す。
完成すれば大阪の「あべのハルカス(300m)」を上回って日本一になるうえ、木造建築としては、現在世界で最も高いカナダのブリティッシュ・コロンビア大学学生寮を抜いて世界一になる。
【日時】2018年03月03日(土) 06:00
【提供】ハザードラボ