今後30年以内に巨大地震が70〜80%の確率で発生するとみられる南海トラフについて、気象庁は26日、専門家を集めた定例の検討会を開き、「今月半ばごろから、紀伊半島や四国のプレート境界付近を震源とする深部低周波地震と、わずかな地殻変動をとらえた」と明らかにした。
四国の南から駿河湾にかけて伸びる南海トラフ沿いでは、M8クラスの巨大地震が100〜150年間のスパンで発生している。
直近では1944年の東南海地震に続いて、1946年の南海地震で、1000人以上の犠牲者を出した。
26日の検討会では、今月11日から15日にかけて、奈良県を中心とした紀伊半島南部、また21日からは愛媛県のプレート境界付近を震源とする深部低周波地震が観測されたことが明らかにされた。
2月19日には、愛媛県と九州・大分県の間の豊後水道で、深さ約40キロを震源とするマグニチュード(M)5の自身がほぼ同時刻に2回起きていて、いずれもフィリピン海プレート内部で発生した。
この期間、和歌山県と三重県、愛媛県と高知県の複数の観測地点ではわずかな地殻変動がとらえられており、GPS衛星の観測では、静岡県の御前崎、和歌山県の潮岬、高知県の室戸岬で地表が沈む沈降傾向が続いているという。
通常の地震波より周波数が低い深部低周波地震は、プレート境界の深さ30〜40キロ付近で発生すると考えられていることから、検討会では、南海トラフの震源域のプレート境界で「スロースリップ(ゆっくりすべり)」が発生している可能性が高いとみて、現時点では、「巨大地震発生の可能性が平常時と比べて高まったと考えられる特段の変化はない」と結論づけた。
【日時】2018年02月27日(火) 11:46
【提供】ハザードラボ