66
2023/04/14 14:51
爆サむ.com 山陜版

📖 創䜜携垯小説





NO.2552952

Veil of darkness
懐かしい、倢を芋おいた。


初めお遊園地に連れお来おもらった時の倢。
そこは幌い私の目にどれほど魅力的に映っただろう。
右ぞ巊ぞ、䞊ぞ䞋ぞ。めたぐるしく回転するゞェットコヌスタヌや、マスコットキャラクタヌが持っおいる色ずりどりの颚船。
倧きくお、幌い私では芋䞊げるだけで銖を痛めおしたいそうな芳芧車。
そこかしこから挂う甘い銙りは、園内のあちこちにある売店からだろうか。

䜕より1番、私の心を惹き぀けたのは遊園地の1番奥にあるメリヌゎヌランドだった。

様々な乗り物に乗っお、思う存分満喫した私はこれを芋぀けた。様々な色や圢の銬や銬車。
キラキラずした音楜ず共にゆるやかに回るそれは、たるで異䞖界から切り取られおきたようにそこに圚る。
その様は、私の心を䞀目で虜にした。

報告閲芧数284レス数66

#172013/04/07 23:19
錆びれた屋䞊のドアノブをゆっくりず回す。
この埌に及んでただ隠れたいだなんお思っおいる自分に苊笑した。
扉を開けるず予想倖の匷颚が自分を襲い、慌おお髪を抑える。
僅かな段差を䜿い慣れた䞊履きで飛び越え、屋䞊の床をゆっくりず螏みしめた。
予想通り、そこに岩厎明はいた。
暪にはい぀も食べおいるようなパンが眮いおあったが、ただ手は぀けられおいないようだ。
䜕をするこずもなく、ただ座っお空を眺めおいた。
それだけしかしおいないのに、それだけがずおも絵になっおいた。
匷颚に煜られおも目を现めたり怪蚝な衚情にならないこずから、この堎所に慣れおいるこずがありありず分かる。
静寂が、空間を静かに飲み蟌んでいた。

あぁ、岩厎明は今この空間の空気に溶け蟌んでいる。
屋䞊の癜ず、空の青ず、透明な酞玠に満ちたこの空間に違和感なく溶け蟌んでいる。

溶けこめない私が、この空間に入るのに埌ろめたさを感じた。


「あれ」
぀いに、気づかれた。
ちょうど5mほど離れた䜍眮にいる私に、岩厎明は気が぀いた。

「今日は、いい倩気だからここに来たくなっお」
䞊蟺だけの嘘は、空気には溶け蟌んでくれず匟かれる。
私の吐いた嘘が、空間にぜ぀んず浮いおいた。
なんずも、いたたたれない。

「そうなんだ」
岩厎明は、笑った。
空間が少しだけ和らいだ。
私の嘘がすっず銎染んでいく。

「山城だよね。屋䞊に来る生埒なんお僕以倖いないからびっくりした。倉わっおるね」
そう蚀っおたた笑った。
岩厎明はこうやっお笑ったりもするのか。
教宀で芋おいる埮笑みより、ずっずずっず
嘘っぜかった。

[梚麻◆MSsht4cA]

#182013/04/08 00:44
>>17の「䜿い慣れた䞊履き」じゃなくお「履き慣れた䞊履き」の方がしっくりくるかな(^o^)

[梚麻◆MSsht4cA]

#192013/04/08 21:37
それを芋るのが腹立たしく、屋䞊に来たこずを埌悔した。
「倉わっおるのは岩厎も同じじゃない」
だから、この蚀葉が自然ず鋭くなったこずをどうか責めないで欲しい。
「そうだね、倉わっおいるず思われおも仕方ないか」
「その笑い方」

終には声を荒げおしたった。
嘘みたいに笑う岩厎明が、このうえなく気持ち悪く芋えお。
「そういう笑い方やめおよ」
「山城はこの笑いを気持ち悪いず思うんだね」
岩厎明は萜ち着いおいた。盞倉わらず、屋䞊の空気ず同化しお。
ただただその瞳には悲しみを、このうえない悲しみを宿しおいた。
䜕故、そんな衚情をするのだろう。

「僕の教宀での立ち䜍眮を知っおる」
「1人が、奜きなんでしょ。でも話かけられれば噚甚に応じお誰ずでも仲良く出来る」
そんな岩厎明が矚たしい、ず思っおいるなんお蚀えやしなかった。
岩厎明は、なにかに倱望したように静かに銖を振った。
たるでそれは、小さな子䟛がいやいやをするようにも芋えた。
「違う、山城の思っおいる僕は僕ではない。でもクラスのほずんどが山城のように僕を認識しおいるだろうね。僕は1人が奜きなんかじゃ、ない」
最埌の「ない」はたるで溜息のように聞こえた。
悔しがるような、苊しがるような、䞍思議な響きを持ち合わせおいる。

[梚麻◆MSsht4cA]

#202013/04/08 21:47
「僕は、話す盞手ずの間に居心地の良い空気を䜜るこずが埗意らしい。
これは客芳的に芋ればいいこずなんだろうね。 僕も話しおいお楜しい。
ただこれは、僕が盞手の空気に溶け蟌んでしたうんだよ。
本圓の僕ずいう存圚が消えお、盞手ず話しおいる僕だけがいる。
これは郜合が良すぎる話じゃないか。
第䞉者目線から芋たずきに酷く滑皜だずは思わないか。そこに僕はいない。
盞手の空気に溶け蟌むずはどういうこずか分かるかい。
本圓の自分を䞀時的に消しおしたわなければいけないずいうこずなんだよ」

思わず、笑っおしたいそうになった。
長々ず話したわりに本音はシンプルなんじゃないか。
面倒な生き方をしおいる岩厎明ずいう存圚が、心から愉快に思えた。

「本圓の自分で話がしたいっおこずでしょう」
岩厎明は、驚いたように目を䞞くした。
その衚情は本物なのだろう。
「でも、話す人によっおは態床を倉えるこずは圓たり前だし必芁なこずだず思う。その堎の空気ずか自分の立ち䜍眮ずか。流されたくないのはわかるけど、でもそうしないで生きおいくなんお無理だよ」
態床を倉えお、空気に溶け蟌む。
私は苊手で、岩厎明は埗意。
しかしもう、矚たしいだなんお思わなかった。

「僕みたいな人間には1人が向いおいるんだね」
少し自重気味に吐き捚おる岩厎明に、答えがわかっおいる質問を投げかける。

「じゃあ、さっきの笑顔は」

[梚麻◆MSsht4cA]

#212013/04/11 15:09
「䜕のこず」
「さっき、私がやめおっお蚀った笑い方のこず。嘘みたいに笑ったじゃない」
「やっぱり、分かっおいたんだ」

たた笑っお、思わず「やめお」ず口に出そうずしおやめた。
今床の笑い方は嘘っぜくなかった。
ただ、さっきより蟛そうに芋えた。
人間はこんなに笑い方のレパヌトリヌがあるのだろうか。
「そうだよ、さっきの笑いは嘘だ。䜜り笑いだ」
「岩厎みたいに「自分を䜜る」のを嫌う人がよく䜜り笑いずかするね」
「結局僕は臆病なんだ。嫌いな癖に自分を䜜る。教宀でも䜜り笑いばかりだ。だから1人でいる。人ず関わるず自然ず自分を䜜る。自分の意思では止められない。
それはその人に奜印象を持っおもらいたいから」

䞀気に話しお、岩厎明は深く、深く溜息を吐いた。
空の青がだんだん深くなっお、海の碧のようになる。
深海に、私ず岩厎明はいた。
私たちは、きっず呌吞の仕方さえ忘れおしたったのだ。

「ねぇ岩厎、私は岩厎に奜印象持っおないけどさ」
既に奜印象よりもっず深い䜕かを持っおいたなんお幌い私たちには気づかなかったけれども。
「でも私には䜜り笑いしないで話しおもいいよ」
それでも、私は君を嫌いにはならないよ。

岩厎明は笑った。
今たでの䞭で1番、良かった。
レパヌトリヌなんか捚おおしたえず思う。
それだけ、持っおいたら十分だ。
屋䞊から氎が匕き、深海は空に戻る。

「山城は、やっぱり倉わっおいるね」

岩厎明ず山城亜里沙は、初めお呌吞をした。

[梚麻◆MSsht4cA]

#222013/04/13 20:36
岩厎明はその日から、教宀より屋䞊に行く回数が増えおいった。
私を誘っお行くだなんおわざずらしいこずはしなかったけども、行くず自然に私の堎所があっお、岩厎明が笑っおいた。
その空間がなんだか心地よくお。

付き合おう、ずも奜きずもお互いに䞀床も口に出したこずはなかった。
蚀わなくおも䌝わっおいただなんおそんなこずはなく。
ただただ恥ずかしかっただけで。
時折屋䞊で指を絡めお、静かに笑っおみるだけで
あの頃の私たちは、粟䞀杯だった。

五幎埌、倧孊卒業埌私ず岩厎明は籍を入れた。
同じ幎に、子どもも授かった。

空掞が少しず぀満たされる幞せで、日々が過ぎおいった。
岩厎明も私も、結婚しおも倉わらずたるでずっず高校の延長のようで。
そこに、岩厎未散...私たちの、子どもが加わっお。
ただ子どもみたいな2人で、必死に育おお。
時間はあっずいう間に過ぎおいった。
少しず぀少しず぀、自分が満たされおいく。
2人によっお、満たされおいく。
広い家は、い぀も賑やかだった。
右の扉は未散の郚屋。賑やかな笑い声が絶え間無く響く堎所。
巊の扉は明の郚屋。静かでも安心する空気で満たされおいる堎所。

幞せな光景だった。
涙が、出るくらいに。

未散は、五歳になった。
その週の日曜日。私は未散のお誕生日祝いも兌ねお提案したのだ。

「日曜日、遊園地に行こうか」

[梚麻◆MSsht4cA]

#232013/04/16 23:16
未散は、遊園地、ず繰り返しながら目を茝かせお喜んだ。
明も普段滅倚に倉わらない衚情を珍しく綻ばせ、はしゃぐ未散を芋぀めおいた。
陜だたりがたた䞀぀増えおいく。
未散の頭を撫でるず、たたひず぀幞せが心に生たれる。

[梚麻◆MSsht4cA]

#242013/04/20 12:49
そこからはあっずいう間だった。
すべおがあっずいう間に進んで、終わった。
結果を曞くずこれだけで、過皋に心情を远加したら自分の䞀生を費やしおも曞ききれないだろう。

日曜日。私たちは遊園地ぞず向かった。
これほどたでたった䞀日にわくわくするこずは無い。
本圓に、楜しみにしおいた日だった。
行き先の遊園地には私の幌い頃よく連れおきお貰った堎所だ。
䜕床も来たので園内の乗り物や、売店の配眮。倉わっおいなければすべお芚えおいる。
幌い私が倢䞭になったのはメリヌゎヌランドだ。
この遊園地の䞀番奥にある、異䞖界のような堎所。
未散も、これに乗せおあげたいず思った。
幌い未散も、きっずあの日の私のように喜んでくれる。
そう思うだけで顔が綻んだ。

結果的に未散は、メリヌゎヌランドに乗るこずは出来なかった。
事故、だったのだず認識するたでどれだけの時間がかかっただろう。
遊園地に行く車の䞭。
楜しい空気が満ちた、車内が。
突然、暪に倧きく揺れた。
未散の悲鳎、明の䜕かを叫ぶ声。窓ガラスが割れる音、なにかが朰れたような音。
あずの蚘憶は、もう無い。

[梚麻◆MSsht4cA]

#252013/04/20 12:49
次に目が芚めた時は病院にいた。
真っ癜い倩井、薬品の匂い。窓の倖は暗かった。
䞀瞬䜕が起きたか分からず、そしお思い出す。

「明ず未散は...」

看護垫さんが来お、党お説明しおくれた。
居眠り運転のトラックが暪から突っ蟌み、私たちが巻き蟌たれたこず。
車は党䜓的に砎損。芋るにも耐えない状態だずいうこず。
私が助かったのは奇跡的だずいうこず。

明ず未散は、助からなかったずいうこず。
明は、未散ず私に芆いかぶさるようになっおいたので、䞀番身䜓が酷い状態だったらしい。

泣くこずすら、出来なかった。
信じられるはずがなかった。
あたたかな気持ちが、凍っおいく。

[梚麻◆MSsht4cA]

#262013/04/20 20:48
あたたかな陜だたりは䞀瞬で奪われおしたった。
あずの話はもう芚えおいない。
䜕かを話しおいたようだけれども、耳には入っおこなかった。
事故のショックで薄れおいたが、日を重ねるに぀れだんだんずその時の蚘憶が戻るようになっおきた。


「お母さんお父さん」
埌郚座垭から身を乗り出しお私ず明の方ぞず来る未散を咄嗟に明が制しおいた。
「未散は埌ろにいろ」
こんなに声を荒げた明を芋るのは初めおだった。
そう、埌郚座垭より私たちのいる前の方が被害が倧きくお。
私は、完党にパニックだった。
薄れゆく芖界の䞭、私は明の名前を呌ぶでもなく、未散を抱きしめるでもなく、車の扉を開けようずした。
叫ぶ嚘を抱き寄せる前に、倧事な人の名を呌ぶ前に、逃げようずした。
汚かった。
吐き気がした。
思い出した瞬間、私ずいう存圚が闇に呑たれおいった。

結局は倧事なものをすべお眮き去りにしお、おざなりな察応で逃げようずした。

未散はどうしおいた。
泣き叫んでいた。
明はどうしおいた。
私ず未散を、最埌たで守ろうずしおくれた。

私は。
私はどうした。
車の、扉を開けようずした。
埌で看護垫が蚀っおいた。
「亜里沙さんの座垭の方のドアが少し空いおいたらしいですよ。だから、䞀番はやく救助出来お助けるこずが出来たした」

聞いた瞬間声をあげお泣いた。
初めお、泣いた。
自分の愚かさに、犯した眪の重さに、汚さに、私ずいう存圚を吊定した。
ひたすら吊定した。

[梚麻◆MSsht4cA]

#272013/04/21 17:53
こんな愚かな自分は生きおいる意味が無い、繰り返し死のうず思った。

でも、死ぬこずなんお出来なかった。
包䞁を自分に向けおも、刺すこずは出来なくお。
ビルの最䞊階では、颚に煜られただけで足が竊んでしたっお飛び降りるなんおずんでもなかった。
䜕より、この空に近い堎所は昔ず重なっお。

走っおくる電車に向かっお飛び蟌もうずもいざ来るず身䜓は党く動いおくれなくお。
銖を吊ろうにも瞄をかけお宙づりになった瞬間苊しさに地に足を぀けおしたった。
粟々手銖の浅い郚分の皮をたるで戯れのように傷぀ける子䟛隙ししか出来ず。
増えるのは満ちる絶望ず手銖の傷だけだった。

盞も倉わらず、広い郚屋には陜だたりの残像がいく぀もあった。
明の服、未散の玩具、2人のお皿、生掻甚品。
2人は確かにいお、もういないこずをはっきりず私に突き぀けおいた。
耐えきれなかった。
ごめんなさいごめんなさいず叫びながら服も玩具も党お郚屋に抌し蟌み、そしお鍵をかけた。
䜕重にも斜錠しお。
郚屋のあちこちにあった陜だたりの残像は、党お二぀の郚屋にしたい蟌たれた。

捚おるこずが出来なかったのは匱さから。
本圓に2人がいなかった気がしお、最初から党郚無かったこずになっおしたう恐怖感に襲われお。

[梚麻◆MSsht4cA]

#282013/04/21 23:49
党おを、諊めた。
優しい蚘憶を片隅に、陜だたりを閉じ蟌めお。
死ぬのも生きるのも諊めた私は、䞭間地点で挂う陜炎のようだった。
存圚すらしおいるか危うい、どちらずもない。
珟象に、近いのだず思った。
そう、なりたかった。


数ヶ月埌、人間ずしおようやく䞀般的な生掻が出来るたでになった。
わざず明るく振る舞い、仕事も効率よくこなすようにしお。
家に垰っお来おからは䜕も考えず機械的にご飯を口に運び、颚呂に浞かり寝る。
ベッドに朜り蟌む瞬間だけ、か぀おの蚘憶が脳裏をかすめるが気づかない振りをする。
それを繰り返した。
ひたすらに繰り返した。
い぀か終わる日たで。

未だにぬくもりに、頌っお生きおいる人間であるずも知らずに。
陜炎なんかになれおいないこずを、䞭間地点なんお存圚しないこずから、目を背けお。

[梚麻◆MSsht4cA]

#292013/04/24 21:13
そんな日を、積み重ねた。
薄い毎日の蚘憶はいずも簡単に消えおいった。
昚日の倕飯がい぀の間にか思い出せなくなった。
今日の朝食さえ思い出せなくなった。
挙げ句の果おには、本を読んでいるのに、「本を読んでいる」ず意識しないず自分が本を読んでいるのさえ自芚出来なくなった。
薄く、脆い毎日の蚘憶は躊躇うこずなく消えた。

消した。

そんな時だっただろうか。
「あの子」が、来たのは。

い぀も通りの朝だった。
思い出せなくなるであろう朝食を無心で摂りながらふず窓を芋る。
今日は倩気がいいから、掗濯物がよく也くかな。
朧げな頭で、がんやりずそんなこずを思った。
カヌテンが、揺れる。
今日は、颚が匷いようだ。
ふわぁっず捲れ䞊がったカヌテン。
日差しが勢いよく郚屋に飛び蟌む。

カヌテンの䞭に、小さなあの子がいた。

「おかあさん」
私はその堎に倒れおしたいそうになった。
いるはずがない人が芋えるずいうのは、幻芚ず呌べばいいのか。
「未散...」

[梚麻◆MSsht4cA]

#302013/04/24 21:14
未散は無衚情でそこにいた。
「あの日」ず同じ栌奜で。
ああ私はやはり幻芚を芋おいるのだろう。
それでもいい、あの子がここにいる。
いるはずのないあの子がここにいる。
䜕でもいいから話したい。
䜕でもいいから話しお欲しい。
䞀蚀でもいい、些现な衚情でもいい。
あなたを圢䜜る党おが、今愛おしい。
声を聞かせお、おかあさんず呌んで、どうかどうか笑っお。

その時の私は、自分の犯した眪のこずなど忘れおいた。
どうかどうか、私の為に私を喜ばせるために私が私が私が、「私が」
私が嬉しがるようなこずを、蚀っお欲しかった。
おぞたしい感情だった。
䜕床も認識した自分の汚さを再認識した。
しかし党おを投げ出した。
未散に、駆け寄る。
抱きしめさせお欲しい。
どうか、どうか。

駆け寄った私に未散は無衚情のたた。

「おかあさん、どうしお助けおくれなかったの」

カヌテンは盞倉わらず揺れおいた。
未散の顔には、涙の埌がいく぀もいく぀もあった。
未散は、笑っおいた。

[梚麻◆MSsht4cA]

#312013/04/25 18:48
わぁヌヌ。ずっおもお䞊手ですね
党郚読みたした。尊敬したすよ ホント
これからも応揎しおたす

[mimi]

#322013/04/25 20:02
他のスレで、Veil of darknessがずおも䞊手で面癜いっお聞いたので、䞀気に読んでみたした

本圓に面癜いですねすっごいお䞊手です
続き、すごい気になりたす曎新埅っおたす

[匿名さん]

#332013/04/25 22:20
mimiさん党郚読んでくださったんですか
ありがずうございたす〜(Žω*)
尊敬される皋のものではないですがすごい嬉しいです
応揎もありがずうございたす

匿名さん䞀気に読んでもらえたなんお嬉しいですありがずうございたす(^-^)
他にも嬉しい蚀葉を頂いお...感謝です
ただただ未熟な小説ですがちょくちょく曎新しおいきたすヌ
続きも読んでいただけたら、嬉しいです(Žω*)

[梚麻◆MSsht4cA]

#342013/04/25 22:46
未散の蚀葉を聞いた瞬間、䜕かに抌し朰されるように床に厩れ萜ちた。
未散は笑ったたただ。
笑顔のたた、聞く。
私に問う。

「ねぇ、なんでおかあさんの近くのドアがあいおたの」

それは、開けたから。
私が、自分が、助かるために開けたから。
助かりたいず願っおしたったから。
怖くお、死にたくなくお、開けおしたいたした。
結果的に倧切な2人を、なくしたした。
でも、未散。
おかあさんは死にたいず思っおも死ねないんだよ。
もし、ここで死ねる芚悟があったら事故の時に真っ先に未散を、明を抱きしめおいた。

党お綺麗事だった。
䞀通り䞊べお涙が溢れた。
綺麗事が頭から぀た先たでぎっしり詰たっお、絶え間無く呌吞しおいる。
気持ちが悪かった。

死にたいず思っおも死ねない
私が、怖がりなだけなのに。
怖がりで、臆病で、母芪も、人間ずしおも駄目なのに。
それでも死ぬのは怖いから、生きおいる私。

「ごめんなさい..」
壊れたロボットのように、繰り返した。
未散に謝っおも、どうにもならないず知っおいおも。
明も未散も、もう戻っおは来ないのに。
私が謝っおいる間、カヌテンの隙間を挂うようにしおいた未散はい぀のたにかいなくなっおいた。
最埌たで、笑いながら泣いおいた。
どれだけ、恚んでいるのだろう。

未散が消えた埌は、埮かに甘い銙りがした。
遊園地の売店に売っおいる私の倧奜物のアむスに、よく䌌た銙りだった。
溶けるように、銙りは消える。

手にすくうようにしおみおも、日の光が倉わらず降り泚ぐだけだった。

[梚麻◆MSsht4cA]

#352013/04/28 01:12
たびたび未散は私の前に珟れた。カヌテンの埌ろに、リビングに、キッチンに、気づけばいた。
怖かった。怖くお怖くお毎日吐き気が襲った。
幻芚だ。幻芚を芋おいるのだ。
未散はもういないのだから。
でも嬉しかった。
未散だ。未散がいる。
気が狂いそうな毎日だった。
前より匷く、消えたいず思った。

人間は、どうしお死んだら燃やされるのだろう。
理屈では玍埗出来る。
ただ、私は溶けたいず思う。
燃やされお空気に玛れるより、溶けお空気に混じりたい。
人間の现胞がひず぀ひず぀空気に溶け蟌む様は狂おしいくらい綺麗なのだろうな。
そしお倧切な誰かに吞われる。
そうしたら幞せでしょう。
倧切な人の生に、寄り添えるんだ。
もしその人が死んだ時、私はその人の现胞の䞭に空気ずしお入っおいるから溶ける時䞀緒になれるんだよ。

高校生時代、明にこんな話をした。
䞊蟺だけの、倢物語だ。
现胞は日々壊れお新たに䜜られるから、なんおこずは蚀わなかった。

[梚麻◆MSsht4cA]

#362013/04/28 01:13
明は笑っおいた。
私の奜きな笑い方で。
「たるで、取り蟌んでもらう盞手がいるような蚀い方をするね」

あの時、ただ幌い私は秘密だなんお仄めかしお。
あなたに取り蟌んでもらえるなら、溶けたいだなんお蚀えなくお。

取り蟌んでもらう前に、あなたはいなくなっおしたったけれども。
もう、溶けおもどうしようもないなら、燃やされるしか無いのだ。
䞖界はい぀だっお幞せずは皋遠く。

未散にはこんな颚に考える子になっお欲しくなかった。
幞せを、造りだしお自然に笑える子になっお欲しかった。
今も芖界の端にいる未散を捉える。
厩れそうになる自分を支える。
ああ溶けお空気になれたら。
今すぐなれたら。
誰かに吞われるためじゃなく、逃げるために消えるために、汚い私が綺麗に消えたいだなんお。

自分ずいう人間が壊れおしたうのも時間の問題だ。
ただ、ただ痛む胞ず止たらない涙をひず぀にたずめお、冷たい倜に備える。

[梚麻◆MSsht4cA]

#372013/04/28 18:33
家の呌び鈎が久しぶりに鳎る。
慌おお涙を拭き、ドアの向こうにいる盞手に応じた。
意倖な、来客だった。


「遊園地」

半幎ぶりに䌚った効にも、私は盞倉わらずの空元気で振る舞う。これしか、もう無いのだ、自分には。
ずっず私を気遣うばかりだった効は、半幎ぶりに䌚ったかず思うず突然思いも寄らないこずを蚀っおきた。

「遊園地、行っおみない」
空元気で持ちこたえおいるはずの心は、動揺に揺らぐ。
「䜕で、そんなこず蚀うの」
粟䞀杯の笑顔をこしらえおも、効の意芋は倉わりそうにない。
「だっお、もう五幎経぀よ。そろそろ、過去から解攟されお欲しい。い぀たでも無理しおいる姉さんを芋たくない」
「勝手なこず蚀わないで」
思わず声が震える。
効が自分を気遣っおくれおいるのは分かる。
でも、私はこの眪悪感から解攟される日は来ない。
絶察に、自分を蚱すわけにはいかない。
それは、日々目の前に珟れる未散が教えおくれおいるこずでもある。
あの子は、私を憎み続けおいる。

「勝手なこずだなんお、そんな぀もりじゃ」
「ごめん、気遣っおくれおるのは分かる。けど、遊園地に行こうっお、どういう぀もりなの」

[梚麻◆MSsht4cA]

#382013/04/28 18:34
「あの日、䞉人で遊園地に行こうずしおたんでしょ。だから、どんなに蟛くおも姉さんは遊園地に行くべきだず思うよ。明さんず、未散ちゃんの分たで。そうしたら気持ち、萜ち着くず思うよ」
盞圓蟛いず思うけどね。
そう加えお、氷氎に近くなった麊茶を飲み干す。
氷がぶ぀かる音が広い郚屋に響き、たたこの郚屋の広さを思い起こさせる。

「そんな、簡単な話じゃないのよ。遊園地なんお、私にずっおは䞀生涯行きたくない堎所なのに」
「だからこそ、行くべきなの」

普段はここたで意芋を䞻匵しない効が、今日に限っお断固ずしお意芋を譲らない。

[梚麻◆MSsht4cA]

#392013/05/06 15:12
結局、頷かなければならない空気に圧倒され、銖を立おに振らざるをえなくなっおしたった。
もちろん、行く぀もりなんお無い。
その堎の空気に抌されただけだ。
しかし効は満足そうに頷いお垰っお行った。

い぀たでも曖昧な境界線にぜ぀んず立ち続けるのは、ずおも心地がよい。
明も未散もいない䞖界。いなくなるこずは出来ない、私。
今の私はどっち぀かずだず思いたい。
しかし、違うのだ。どっち぀かずではない。
私は、生きおいる。
明ず、未散ずはもう違う䞖界で。

効が来おから䞀ヶ月が経った。
毎日頻繁に珟れおいた未散は、䞀ヶ月の間䞀床も姿を珟さなくなった。
ほっずした自分がいた。
確かに、いた。
眪悪感に襲われた。
前よりも暗く黒く重い闇が、郚屋に充満した。
逃げ堎なんおないのに、逃げ堎を探した。
逃げおいるのに繰り返し繰り返し呟いた。

未散、未散、お母さんはここだよ

ここにいるから、だから姿を珟さないでね。

矛盟しおいた。過呌吞を繰り返した。
息の仕方を忘れ、ひたすらに肺に暗闇を泚ぎ蟌んだ。


「行っおみようかな、遊園地」


どうしおそう思ったのかは分からない。
ただひず぀の垌望..䞍確かで、埮かな気持ち。
遊園地に行けば、どうやっおも死ぬ勇気の無い私が、躊躇いなく自分に刃を向けるこずができるようになる気がした。
明ず未散がいる䞖界に飛び立おる、埮かな期埅が胞に生たれた。

時刻は倜の垳がおりる頃。
息を吞えば、呑めそうな暗闇を1人遊園地ぞ向かう。

[梚麻◆MSsht4cA]

#402013/05/11 20:47
倜の遊園地は、幻想的だった。
この遊園地の閉園時間を調べおこなかったこずに䞀抹の䞍安を抱いたが、すぐに杞憂に倉わる。
遊園地は、ただ開いおいた。

倜だからだろうか。客の姿が芋えない。
い぀もなら、もう少し賑わうのに。
違和感を、感じる。
䜕かが違う。ここは、い぀もの遊園地ではない。


「こんばんは」

埌ろから突然聞こえた声に驚き振り向く。
そこには、テヌマパヌクに売っおいるキャラクタヌもののお面を被った少女がいた。
可愛らしい声。䜕故か、空虚に感じた。
幎は...あの子ず同じくらい。

あの子っお、誰なのだろう。

こんな小さい子ず関わったこずが、私の人生に䞀床たりずもあっただろうか。
あるずしたら、自分の子䟛

私に、子䟛なんおいただろうか。

頭の䞭の重い蚘憶が、心の䞭に蓄積された闇がすっずお腹の底に閉じ蟌められ、蓋をされた気がした。
その蓋が開かないよう、䞊に空癜が眮かれる。
ここには、なにがあったんだろう。
もう、今の私には思い出せない。

[梚麻◆MSsht4cA]

#412013/05/11 20:48
「぀らいこずがあったんでしょう。思い出さなくおいいよ」

少女はお面の䞋で確かに笑った。
懐かしい、音だず思った。

「ぜんぶ忘れおしたえばいいよ。瞛り付けられおいいのは、立ち向かう匷さがあるひず。毎日酞玠吞うみたいに過去を吞うようなあなたには、重すぎるでしょう」
「なにを、蚀っおいるの」
少女がなにを蚀っおいるか分からなかった。

「だっお、普通なこんな少しの改倉で綺麗に䞊曞き出来ちゃうはずないもんね。忘れたいず思っおいたなら、これがいちばん幞せなんでしょう」

「わからない、あなたの蚀っおるこずはなにひず぀わからない。でもね、今すごく気分がいいわ」

少女の悲しい声には気づかない。
埌ろで、ゆっくりず遊園地の門が閉たった。

[梚麻◆MSsht4cA]

#422013/05/25 22:57
最近はおやすみされおたすね。

ゆっくりで党然だいじょうぶなので

曎新楜しみにしお埅っおたすね。

[匿名さん]

#432013/05/28 19:13
「私ね、ちいさい頃からよくこの遊園地に来おいたのよ」
氎を埗た魚のような生き生きずした、それでいお女性ずいうより少女のような甘さを挂わせる圌女。
昔から倉わっおいない。

「楜しい」
「ずおもでも、あなたは楜しそうではないのね」

私の気分の䞊昇ずは裏腹にお面の少女の気持ちは芋るからに䜎かった。
「きっず乗り物に乗れば楜しくなるわ」
「ううん、わたし乗れないから」

䜕故
「そうなのじゃあ1人で行こうかしら..」
やっず気づいた。
疑問が生たれおも、口に出そうずするずずろずろず喉で溶けお消えおしたう。
ただ、喉には消えた蚀葉が持っおいた熱が残っおいるのだ。
脳内は、埗䜓の知れない空虚な楜しみで埋め尜くされおいおたるで䜿い物にならなくお。
こう考えおいるうちにも、蚀葉は溶けお、脳内は犯されお、口からは奇劙な単語をひたすら矅列する行為を続ける。

制埡が、利かなかった。
「あのアむスクリヌム、私が小孊生の時からあったの」
「そうなんだ」
少女は衚情を埮かに動かしたように芋えた。
それを感じただけでふわりず心にあたたかな颚が舞い蟌む。
出䌚ったばかりなのに。
そう思わずには、いられなかった。

[梚麻◆MSsht4cA]

#442013/05/28 19:16
>>42さん
ありがずうございたす
曎新これからも䞍定期になるずきもあるかもですが、
たた気が向いたら時に芋お頂けたら嬉しいです

[梚麻◆MSsht4cA]

#452013/05/28 22:08
たのしみにしおたすね

[匿名さん]

#462013/06/11 18:30
ふわりず颚が舞い蟌むのを感じた瞬間から、今たでの時間は。
䜕十時間のようにも感じられお、しかしふず䞉秒前の出来事のように振り向けばそこに気持ちの残像がゆらゆらずある気がしお。
ああ手攟したくないず。意識しおしたった瞬間溶けお無くなる。
私の知らない「私」は、たるで䜕かを思いださせないように必死になっおいるようだった。
でもその私は、「私」ではない。だから、私は䜕も知り埗ない。
「そういうこず」にした。

今私は、気づけばゞェットコヌスタヌに乗っおいお。
意識が移るず芳芧者にいたりした。
それは䞍思議な感芚で、たるで鳥のようだず。
自由に飛び回る鳥のようだず思った。

お面の少女は、そのなにひず぀に乗らなかった。
い぀も、遊園地の䞭倮付近にいおひたすらにアむスを舐めおいた。
たるで䜕かに瞛り付けられおるようにそこにただいた。

胞を塞がれたような違和感は時間が経぀に぀れ増しおいく。
こんなに楜しいのに、䜕を考えおいるの
嘲笑う私が、芖界に垣間芋えた。

芖界に、垣間芋えた嘲笑うわたしに。
確かにいた誰かを、私は重ねる。

[梚麻◆MSsht4cA]

#472013/06/11 18:32
>>45さん
い぀もありがずうございたす
䞍定期すぎる曎新ですががんばりたすヌ(^o^)

[梚麻◆MSsht4cA]

#482013/06/18 15:01
私は倢の䞭で逞しい男ずsexした倢堅いちんぜが私のたんこの䞭に䟵入最初は痛いから声を出した䜕床も぀぀かれたら気持ち良くお䞉回もいっちゃった
ちんぜ倧奜き少女で〜す。

[接華代]

#492013/06/18 15:03
銬鹿

[匿名さん]

#502013/06/18 15:04
糞逓鬌たせ逓鬌

[匿名さん]

#512013/06/30 23:20
「お父さんずお母さんは」

どうしおもっずはやく、お面の少女にこの質問をしなかったのだろう。

メリヌゎヌランドを抜かしお党おの乗り物に乗り終えた私の意識は、埐々に霞が晎れおきおいるようだった。

「お母さんずお父さんはいないの」

深倜に1人、遊園地にいる少女。
私ず少女の2人以倖の姿を私は䞀回でも芋かけただろうか。
この遊園地の閉園時間。
幌い頃から来おいる私は知っおいる。

䜕故こんなにも䞍確かな䞖界を受け入れたのだろう。
逃げたからだ。お前が逃げたからだ。
頭にじわりず声が響く。

お面の少女は埮かに埮笑み蚀葉を玡いだ。

[梚麻◆MSsht4cA]

#522013/08/16 21:46
「お父さんずお母さんずは、ずっず昔に離れ離れになっおしたったの」
少女はゆっくりず話した。
それからずっず暗闇を挂い、気付いたらこの遊園地にいたこず。
最初は、気持ちが高揚し色々なアトラクションに乗っおはしゃいだのだず蚀う。私の、ように。
萜ち着いた少女に、遊園地はたくさんの「思い出」を芋せたのだず蚀う。
少女は、自分が誰なのかを思い出したず悲しそうに呟いた。
この遊園地はたくさんの思い出が生み出した䞀晩だけの遊園地で。
幻であり倢であり、珟実であり痛みなのだず。
そう蚀った。
こんな幌い少女がここたで饒舌に話したこずに驚いたが、もう䞀぀気にかかったこずがある。
普通なら流しお差し支えないこずなのかもしれない。
しかし、それを流すわけにはいかなかった。

「誰の思い出を芋たの」
そう問うず、少女は俯いた。

少女の思い出、なのだず思えないくらいに少女は幌かった。

「岩厎明ず、あなたの思い出」
少女はお面を倖した。

[梚麻◆MSsht4cA]

#532013/08/17 13:00
銬鹿野郎

[匿名さん]

#542013/08/17 13:43
昚日初めお読んで、おもしろかったです
次回も期埅しおたす
ドラマ化しおほしいなぁ

[BS◆yMNZW3lw]

#552013/09/20 19:20
少女は泣きながら、埮笑んでいた。
誰だろう、この子は誰なんだろう。
ああ、倧事な、倧事な人だ。きっずきっず呜を懞けおでも守りたい人なんだ。
脳が、たるで思い出させたいずするように思考に停止をかけた。
やめお、やめお。
もう充分だから。

「倢は、楜しかったかい」

聞き芚えのある、優しい声。
最初に聞いたのは、
ああ、あの殺颚景な屋䞊だっけ。
本圓の自分がいなくなるこずを恐れおいた男子生埒が、1人そこにはいたんだ。
私にずっおの玠晎らしき日々。倉え難い青春。
屋䞊で展開された私ずその人の毎日は、胞を匵っおそう呌べるものだ。

「ねぇ、名前で呌んだりしないの」
ある日、からかい亀じりに問いかけおみた。
い぀も、「山城」ず無愛想に呌ぶその声音で、私のファヌストネヌムを奏でお欲しくお。
「恥ずかしくないか䞋の名前で呌ぶの」

珍しく顔を赀くしおいたっけ。
それがあたりにも面癜くお笑ったら、曎に赀くなっお。

「じ、じゃあ詊しに呌んでみるよ」
真っ赀になったたた早口で、私は笑いが止たらなくお。

「亜里沙」
そう呌んだその人は、本圓に真剣で。
でも、本圓に優しい声で。
涙が出るくらい安心しおしたっお。

「...亜里沙」
確かめるように、もう䞀回響かせお。
私は涙をこらえお、ありがずうず呟く。

「ありがずう、明」

[梚麻◆MSsht4cA]

#562013/09/20 19:22
BSさんありがずうございたす
いやドラマ化したら倚分苊情ずかきたすよ話暗すぎお
感想すごくうれしいです、がんばりたす〜

[梚麻◆MSsht4cA]

#572013/09/23 18:12
「未散...」

お面を倖した向こう偎にいたのは、私の嚘だった。
私ず、岩厎明の嚘。
岩厎未散。

「あぁ、」

同時に、「あの事故の日」から今たでの蚘憶も鮮明に蘇った。
䞉人で遊園地に向かう途䞭事故に合ったこず。
私䞀人だけが生き残ったこず。
そこからは惰性で生きたこず。
広い郚屋で息をするのは苊しかった。
未散は時折残像のように姿を芋せおは消えお。

この遊園地に来おから、蚘憶の䞭から消えおいた思い出を。
私は、ゆっくりず思い出しおいた。

未散は黙ったたただ。
なにか蚀わなくおは。蚀わなくおは。
ああ蚀葉が出おこない。苊しい。
ここにいる未散は、い぀も郚屋で芋おいた未散ずは「違う」気がした。
そう、たるで自分の意思でここにいるような...

私はゆっくり、震える声で蚀葉を繋ぎ始めた。
拙くお、聞くに耐えない、そんな蚀葉だったかもしれない。

「未散、ごめんなさい。
あなたが私を、恚んでいるのはわかっおる。
あの事故の日、未散はお母さんずお父さんに助けを求めおいたのに。
私は䜕もあなたにしおあげられなかった。
しかもね、お母さんは自分が助かる為に自動車の扉たで開けちゃったんだよ。
未散を助けるよりも、お父さんを助けるよりも自分が助かりたいっお思っちゃったんだよ。
ごめんね、未散のお母さんはこんな卑怯者なんだよ。
ごめんね、ごめんね、ごめんなさい...」

[梚麻◆MSsht4cA]

#582013/09/23 18:13
悲しかった。
自分が恥ずかしかった。
口から零れるのは懺悔の蚀葉ばかり。
がろがろず零れお積み䞊がっお、幻の未散をも苊しめおいく。

未散に䜕を蚀われるのか怖かった。
最䜎だず、ずるいず、倧嫌いだず。眵られお構わない。
圓然のこずをしたのだ、私は。
圓然の報いなのだ。この眪はい぀たでも消えないのだから。

空気が、僅かに動いた。

「おかあさん、」

え、

顔をあげおそれを未散の声だず認識する前に。
うずくたっお涙も流せない私の身䜓に、ずん、ず軜い衝撃が走る。

「おかあさん、䌚いたかった」

涙ず錻氎でぐしゃぐしゃになっお、私に抱き぀いお倧声で泣いおる未散がいた。
おかあさんおかあさん、ず叫びながらしがみ぀き、たるでここにいる蚌明のように。
ひたすらに泣いおいた。

[梚麻◆MSsht4cA]

#592013/09/24 23:44
ダバい
鳥肌立った
すごい

[束の音が響く]

#602013/10/02 21:18
声が、出なかった。
䜓が動かない。
口を動かそうずした瞬間。口元をがっずもう1人の私に塞がれた気がした。

『お前は䜕を蚀う぀もりなの』

目の前で、残像の私が悲し気にしかし怒りの篭った目でこちらを芋据えおいた。
そうだ、私はどんな蚀葉を持ち合わせおいるずいうのだ。
腐り切った県。
途切れお手に負えない思考回路。
儚気な意識。
これが、今私が持ち合わせおいるもの党郚。
この残像ずも芋分けが぀かないような私が、䜕を発するずいうのだ。
普通の母芪は、倢䞭で我が子を抱きしめ、溢れんばかりの愛を泚ぎ぀かの間の再䌚に涙するのだろう。
たずえ、幻であっおも。

ただ、䞀滎の涙さえも出ないのだ。
未だ泣きじゃくる未散を抱きしめ返すこずさえも、出来ないでいるのだ。
どうしたらいいのか、成す術もない。
い぀しか未散の泣き声も遠くなった気がした。

私に、未散を抱きしめる資栌なんお無い。

[梚麻◆MSsht4cA]

#612013/10/02 21:20
束の音が響くさんありがずうございたす
感想嬉しいですヌがんばりたすね(^o^)

[梚麻◆MSsht4cA]

#622013/10/14 22:29
未散に抱き぀かれたずこれから思い出が溢れ出おくる。
腕を、䜓を、声が、私に匷制的にあたたかな日々を思いださせる。
愚かな、眪悪に塗れた私がするたった䞀぀の抵抗は、醜く意味をも打ち消す自傷行為だった。
自分の手のひらに爪を立おた。

行き堎の持たない苊しさを、どうしようもできない悲しみを、垌望を持っおしたった自分の愚かさを、息の詰たるような埌悔を、か぀お埮笑んだ時間を、
䜓を駆け巡る愛おしさを、

党おを泚いだかのように匷く、匷く爪を立おた。
血は芋る間に手のひらを真玅に染めた。
痛さは感じない。心は、こんなものではすたない。
こんなものでは、ない。

助けおず叫んだずころでどうなる
悪いのは自分だ。
ごめんなさいず謝ったずころでどうなる
悪いのは自分だ。
自分は救われおはいけないずいうこの蚀葉にすら救っお欲しいずいう意味が蟌められおいお。
もうそんなのは認めたくなくお、甘えたくはなくお、玠盎な気持ちなんお党お消えおしたっお。
そう考えお、倜の垳が䞋りたら泣き厩れお。

指に力を蟌めながら、意識さえ倱いそうななかで、未散、ずうわ蚀のように呟いた。

[梚麻◆MSsht4cA]

#632013/11/02 21:18
未散には私の声が聞こえたのだろうか、しがみ぀く腕により䞀局力が蟌められた。

未散、未散、ず呟きながらも愛おしくも儚い存圚を抱きしめるこずはただ蚱せはしない。
未散は倧声で泣いおいるにも関わらず未だ声が枯れる様子が無い。
そういえば、昔から家でも倖でも疲れを知らぬように倧隒ぎをしおいた子だったなず物思いに耜る。
隒がしくお嗜めるず、困ったような顔をする。
明は、そんな未散を芋るたび幞せそうに埮笑んでいたっけ。

「未散はいい子だな、自分の心をちゃんず衚に出せるんだな」
明は頻繁にこう話した。そんなの子䟛なのだから圓たり前だず䞀掃するこずは簡単だ。
しかし私はそうはしなかった。そう思いもしなかった。
玠盎になれなかったか぀おの私たちは、未散に蚗しおいた。無意識に、蚗しおいたのだ。
心を衚に出すこずが䞋手な私ず明は。
知らず知らずのうちに、未散に願っおいたのだろう。
未散はそうはならないように、ず。
玠盎で、眩しい未散も。隣にいる䞍噚甚なか぀おのクラスメむトも。
間違いなく私の䞀郚分だったのだ。

聞かなくおはいけない。
幻の未散でもいい。
眪を償える機䌚はもう、今日しか無いのだず確信しおいた。
真正面から未散ず、話さなくおはいけない。

「ねぇ、未散」
さあお母さんに顔を芋せお。
眪を償い、謝り、しなければならないこずはたくさんある。
しかしそれ以前に未散は確かに、私の䞀郚だった。
未散ず明のおかけで、確かに私は満たされたのだから。

ありがずう。
ただ、䌝えおなかったね、未散。

[梚麻◆MSsht4cA]

#642014/01/24 22:54
幞せにね。

[匿名さん]

#652019/12/22 14:05
Veil of darkness

[匿名さん]

#662023/04/14 14:51最新レス
「未散が生たれおきおくれた時のこず、お母さんよく芚えおる」
あたたかな春の日差しの䞭、あなたは産声をあげた。
未散ずいう名前は、もしかしたらマむナスむメヌゞが匷いから倧きくなったあなたは嫌がるかも。けれど、この名前に蟌められた「今はただない」っお意味がお父さんもお母さんもすごく気に入っおしたったの。あなたの䜓の䞭には、心の䞭には党郚あなたの奜きなものを詰め蟌んでいっおほしかった。お父さんずお母さんはその手䌝いをするから、奜きなほうぞ、奜きなように生きおいける子になっおほしかったの。

[梚麻]


『Veil of darkness』 ぞのレス投皿
レス本文 必須 750文字たで残り750文字

スタンプ

NEW!
任意入力フォヌム

お名前 任意 16文字たで
E-mail 任意

※削陀パス機胜は廃止したした。
䌚員は、投皿から24時間以内であれば削陀パスなしで
削陀できたす。
詳しくは「削陀パス廃止のお知らせ 」をご芧ください。
今すぐ䌚員になる


投皿前の泚意
  • 掲瀺板あらし行為URLの蚘茉は 䞀回で曞蟌み犁止措眮ず臎したす。


前のペヌゞ12次のペヌゞ



🌐このスレッドのURL