アルコールに依存する女の切ない心のうちを描いた名曲「シャンデリア」(2014)がメガヒットとなり、一躍スーパースターの仲間入りをしたシンガーソングライターのシーア。
オーストラリア出身の彼女は1990年代から音楽活動を始め、これまで数多くの名曲を生んできた。
11年に発売されたEDMのカリスマDJ、デヴィッド・ゲッタの5thアルバム『Nothing But the Beat』に収録の、彼女が作曲・熱唱する「Titanium」はYouTubeで6億を超える再生回数を誇る。
ビヨンセ、リアーナ、ブリトニー・スピアーズ、ケイティ・ペリーらに楽曲を提供するなど、業界からも高く評価されている存在なのだ。
シーアがソロアーティストとして世界から注目されるようになった「シャンデリア」のミュージックビデオには彼女自身は登場しておらず、当時11歳だった天才ダンサー、マディ・ジーグラーがプラチナブロンドのおかっぱカツラをかぶり、シーアの世界観を表現するという内容に仕上がっている。
シーアはこの「シャンデリア」を機に、前髪が長く伸びたカツラで顔を隠すようになり、パフォーマンスする際にはステージの隅っこで歌い、中央はプラチナブロンドのカツラをかぶったダンサーに譲るというスタイルが定番になった。
突風などのハプニングで顔出ししたことはあるが、14年以来、メディアに登場するときもグラミー賞でさえも顔を隠し、大きな話題となっている。
その理由を、「たくさんのポップスターたちと仕事をしてきて、みんなどれだけ大変な生活をしているのか知ってる。
私はそんなふうになりたくない」「それに、ネットとかで外見をあれこれ言われるのがイヤだから」と説明。
米ABC局のインタビューでは、「ディスカウントスーパーで買い物をしていた際、店内に自分の曲が流れたが誰にもシーアだと気づかれることなく“やったー!”と思った」と告白。
顔出しNG路線を貫き通すことをあらためて決意した、と明かしている。
そんなシーアが、長年子どもたちに愛されて来たマペット番組『セサミストリート』に出演。
堂々と顔を出し、「歌うことの素晴らしさ」を表情豊かに熱唱したのだ。
シーアが登場するシーンは「S」というアルファベットが登場した後、当たり前のように顔出したシーアが「SはSongのS/わたしは歌が大好き/歌がなかったら、どうしたらいいのかわからない」と歌いだすところからスタート。
彼女はトレードマークとなっている黒髪とブロンドが半分ずつのボブのカツラをかぶっているのだが、普段顎の下まで伸びている前髪は、眉毛の上でパッツンと切られている。
この歌で共演しているのは、エルモ、クッキーモンスター、グローバーとアビー・カダビーの4匹。
みんなシーアと同じカツラをかぶっており、上下に揺れながらコーラスを担当したり、ダンスを踊ったりと、シーアの歌を楽しんでいる。
シーアはモンスターたちと絡みながら、「私は歌が大好きすぎて/歌のための歌を歌っちゃう」「高い(キーの)歌を歌いたい/低い(キーの)歌を歌いたい」「早い歌/スローソング」「ジャズの歌/ファンキーな歌を歌いたい」とジェスチャーをつけながら熱唱。
両手を腰に当てて左右に揺れながらシャウトすると、シーアの胸元がピンと張って、意外と巨乳であることがわかり、ドキッとさせられる場面もある。
最後にシーアは、「私は歌が大好きすぎて/歌のための歌を歌っちゃう」とドヤ顔でポーズを決め、モンスターたちが口を開けて圧倒されるシーンで終了する。
シーアが子どもたちのために顔出しをして明るく熱唱したことは、とてもレアなこと。
さぞかし絶賛する声が上がるかと思いきや、ネット上には戸惑いの声ばかりが上がっているのだ。
実は1月に、今回の予告編がYouTubeなどで公開されているのだが、反応は思いっきり薄かった。
それだけではない。
1年前の昨年3月にも、今回放送されたエピソードを撮影した際の写真や動画がSNSで公開されていた。
しかし、これまた「顔出したんだ、へ〜」「大人の前では顔出しNGで、子どもの前では顔出しOKか」「イメージと合わない」など、これまた世間の反応は薄かった。
シーアの公式Twitterに投稿された、クッキーモンスターとのツーショット写真に至っては、大スターであるにもかかわらず、4,100をわずかに超えるだけの数の「いいね」しかもらえなかったのだ。
シーアが作る曲の歌詞はほとんどがディープな内容。
彼女はそれをパンチが効いたソウルフルな声で叫ぶように歌い上げる。
アルコール/薬物依存症を克服した、アラフォーのシーアの外見は、ある意味彼女が手がける曲にぴったりなのだが、今回シーアが歌ったのは、「歌うの大好き」「どんな歌でも歌っちゃうよ!」というハッピーな曲。
数多くの大物アーティストがゲスト出演して歌を披露してきた『セサミストリート』だが、シーアには「ハッピーな子ども番組」というイメージがなく、そのため「歌声と顔が一致しない」と違和感を覚えた人が多かったよう。
顔出しNGにしたことから外見への認知度が下がり、誰も彼女の外見に興味を持たなくなったわけだが、裏を返せば、それだけ彼女の音楽が素晴らしいということ。
今後のシーアのさらなる活躍に、大きな期待を寄せたい。
【日時】2017年03月29日(水) 19:28
【提供】サイゾーウーマン