2017/9/4 05:30神戸新聞NEXT
陸自最大の実弾演習 会場の「娯楽感」に違和感
戦車やヘリコプターなどが展開した富士総合火力演習=静岡県の東富士演習場
爆音を響かせて、目標物に向けて砲撃する戦車=静岡県の東富士演習場
航空機で車両ごと輸送され、地上を移動する部隊=静岡県の東富士演習場
北朝鮮情勢が緊迫する中、静岡県の東富士演習場で8月27日にあった陸上自衛隊の「富士総合火力演習」(通称・総火演)を取材した。隊員2400人、車両800台以上が参加した陸自最大規模の実弾演習。爆音がとどろく会場で、安全保障について考えた。(初鹿野俊)
「北朝鮮がひしょう体発射」。同月26日朝、テレビは北朝鮮が短距離弾道ミサイル数発を発射したことを伝えるニュースで一色だった。どこかざわざわした気持ちのまま、自宅を出た。
総火演は一般にも公開されており、一般応募の倍率は29倍。近年は高倍率で推移しているという。記者は陸自中部方面総監部(兵庫県伊丹市)の案内で、静岡に向かった。
[匿名さん]
総火演当日の27日早朝、富士山麓に広がる演習場に入った。開始の3時間以上前だったが、観覧席には既に大勢の見学者。外の売店スペースには焼きそばなどの飲食の屋台が並び、特にTシャツなどの陸自グッズを販売するブースは、さながら開演前のコンサート会場のような盛況ぶりだった。
演習開始。戦車や装甲車などが次々に展開し、砲撃を披露する。観覧席から数百メートル離れているはずだが、すさまじい音と風圧に何度も身を縮めた。子どもの泣き声も聞こえた。
会場では若い女性や子連れの多さが目に付いた。「男性ばかりでは」という予想とは大きく違った。
千葉市の男性公務員(34)は娘(4)と来場。娘の遊び相手をしてくれる親戚の自衛官が参加するといい、「仕事を知ってほしくて」と午前4時に家を出てきた。「イベント的な意味合いで来ている人も多いのでは」と会場を見渡し、「自衛隊の高い技術を国民に見せるのは必要。安心感にもなる」と話していた。
長野市から訪れた女性(28)に安全保障への関心を問うと「あまりないけど、多分日本は大丈夫だと思う」。自衛隊の特集雑誌や映像はよく見ているといい、「今の男性にはない格好良さがある」と楽しそうだ。
[匿名さん]