日本の月周回衛星「かぐや」が、月の地下に通常のクレータとは異なる直径50メートル、全長50キロにわたって伸びる巨大な空洞をとらえたと、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が発表した。
JAXA宇宙科学研究所は18日、月周回衛星「かぐや」に搭載された電波レーダがとらえたデータを解析した結果、複数の火山が寄せ集まっているマリウス丘(ヒル)に直径・深さ共に50メートルの空洞が、月の地下をチューブのようにはいながら約50キロにわたって伸びていることを突き止めた。
これまでの研究で、月の地下には、かつて溶岩が流れ出た際の通り道が存在していると考えられていたが、米アポロ宇宙船などによる月面探査計画では、地下空洞の存在を示す証拠は発見されていなかった。
しかし2009年、「かぐや」に搭載されていた地形カメラの画像データの解析で、クレータとは明らかに異なる50メートル四方の縦穴が見つかり、溶岩チューブの発見を目指して弾みがついた。
月の表面は、隕石の衝突や強い放射線、激しい温度差など、生物にとっては過酷な環境だが、地下空間であれば、温度が比較的安定しているなど多くのメリットが期待できることから、将来の月面基地建設に利用できる可能性があるという。
月の探査をめぐっては、米航空宇宙局(NASA)が今月、宇宙飛行士を再び送り込む計画を発表し、日本でも2025年以降に日本人宇宙飛行士を月に送る計画が協議されることになっている。
なおこの研究成果は、米国の地球惑星科学誌『Geophysical Research Letters』に近く掲載される予定だ。
【日時】2017年10月18日(水) 12:41
【提供】ハザードラボ