上野動物園で生まれたジャイアントパンダの「シャンシャン」は、生後100日が経過して、日ごとにスクスクと成長しているが、パンダの故郷・中国では、家畜の放牧によって生息地が大幅に減少しているというニュースが飛び込んできた。
上海近郊にある昆山杜克(カンシャン・デューク)大学環境研究センターの調査によると、パンダ保護区として知られる四川省の王朗(ワンラン)自然保護区では、地元住民が牛や馬の放牧によってササ竹が食い荒らされ、パンダの生息地の3分の1が失われたことが明らかになった。
四川省の山間部には、7つの自然保護区と9つの自然公園があって、中国のパンダの30%以上がこの地に生息している。
このうち、王朗は、中国国内にある67の自然保護区のなかでも最も古く、パンダの繁殖拠点のひとつだ。
昆山杜克大学のビンビン・リー准教授のチームは、過去20年間のモニタリング・データを使って、保護区内に生息するパンダと主食の竹、放牧されている家畜の分布を調べた。
その結果、パンダの繁殖にとって特に重要とされる渓谷エリアでは、牛や馬が増えすぎて竹を食い荒らす影響で、パンダの生息エリアが追いやられているという。
リー准教授によると、中国の山岳地域では農家の収入源として家畜の放牧が増えているという。
2008年の四川大地震の影響で、観光による収入が低下したなか、放牧であれば、エサを与える必要がないうえ、近年中国国内で高まっている牛肉に対する需要とも合致しているという。
ユネスコの世界自然遺産にも認定されているパンダは、近年では生息数が2000頭近くまで回復しているとはいえ、依然として、絶滅の危険性が高い「危急種」に分類されている。
【日時】2017年10月09日(月) 08:00
【提供】ハザードラボ