たかあまはらにかむづまります。すめらがむつかむろぎかむろみのみこともちてやほよろづのかみたちを。かむつどへにつどへたまひ。
高天原に神留まり坐す。皇が親神漏岐神漏美の命以て八百万神等を。神集へに集へ給ひ。
かむはかりにはかりたまひて。あがすめみまのみことは。
神議りに議り給ひて。我が皇御孫命は。
とよあしはらのみづほのくにをやすくにとたひらけくしろしめせとことよさしまつりき
豊葦原瑞穂国を安国と平けく知食せと事依さし奉りき。
かくよさしまつりし。くぬちに。あらぶるかみたちをばかむとはしにとはしたまひ。かむはらひにはらへたまひて。
此く依さし奉りし。国中に。荒振神等をば神問はしに問はし給ひ。神掃へに掃へ給ひて。
ことどひしいはねきねたちくさのかきはをもことやめて。あまのいはぐらはなちあまのやへぐもをいづのちわきにちわきて。
語問ひし磐根樹根立草の片葉をも語止めて。天の磐座放ち天の八重雲を伊頭の千別に千別て。
あまくだしよさしまつりき。かくよさしまつりし。よものくになかと。おおやまとひだかみのくにを。
天降し依さし奉りき。此く依さし奉りし。四方の国中と。大倭日高見の国を。
やすくにとさだめまつりてしたついはねにみやはしらふとしきたて。
安国と定め奉りて下津磐根に宮柱太敷き立て。
たかあまはらにちぎたかしりてすめみまのみことのみづのみあらかつかへまつりて
高天原に千木高知りて皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて
あまのみかげひのみかげとかくりまして やすくにとたいらけくしろしめさむくぬちになりいでむ。あまのますひとらがあやまちおかしけむ。
天の御蔭日の御蔭と隠り坐して安国と平けく知食さむ国中に成り出む。天の益人等が過ち犯しけむ。