【アフリカの幽霊】
1999年───アフリカ。
探検家のジョン・カルベラと漁業協同組合の田中三郎は、アフリカの荒野で力なく突っ立っていた。
約1時間前に、カルベラは南米密林地帯で伝説の秘宝を捜査していたら青い光に包まれ、気づくとアフリカの荒野にいた。
一方、同じく約1時間前、鳥取県の漁業協同組合の三郎は、漁業で使う自分の船を掃除していたところ───
「赤い光で包まれて、気づくとここにいて、すぐにあんたが現れたんだ」と、三郎はカルベラに言った───「一体、ここはどこなんだ?」
「アフリカデス」と、カルベラは答えた。
「え!?アフリカ!?」
「ハイ。数年前、俺、コノ付近ヲ通ッタコトガアリマス」
「この付近を通ったことがあるって、あんた、見た目がアフリカ人ではなさそうだが」
「俺、アメリカ人デ、探検家ヲシテマス」
「なるほど。だから、こんな荒野がアフリカだってわかったのか。なぜ、おれたちはここにいるんだろ?」
「タブン、宇宙ノエネルギーガ関係シテルカモシレナイデス」
「おれはただの鳥取県の漁業協同組合の一員で、宇宙とか意味がわからないんだが」
「宇宙エネルギーワ3億年前、南極───」
その時、2人の前に素っ裸の薄黒い長髪の重厚な男が現れた───「元気か、お二人さんよ!」
「だ、誰だ、貴様は!?」と、三郎。
「俺はアマテラス。アフリカの幽霊だ」と、アマテラスが長髪を振り乱して言った。
「え?アマテラスって、アフリカ人なのか?」と、三郎は眉をしかめた。
「ああ、その通り!ほれ、この通り、ダンスもお手の物だ、ほれ!」と、アマノテラスは踊り狂い始めた───「ノッて来たぜ!邪魔だ!お前ら、早よ自分の国に帰れ!」
【完】