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福島高校野球


No.8494711
#186
<センバツ高校野球:遠軽3−0いわき海星>◇23日◇1回戦

 東日本大震災で甚大な被害を受けたいわき海星(福島)の、短い春が終わった。遠軽(北海道)との大会初の21世紀枠対決で、大会最短試合にあと1分に迫る1時間16分で、0−3と敗れた。

 楽しい時間は短かった。センバツ史上戦後最短、1時間16分の戦い。「もっとやりたかった」と捕手・作山は聖地を去るのを惜しんだ。

 グラウンドを後にするナインに、約1300人が集結したアルプス、ネット裏からも温かい拍手とエールが注がれた。「いい試合だったよ」「夏にまた来いよ」。坂本主将は「応援してくれる人がいて力をもらった」と声を詰まらせた。

 均衡が破れたのは6回。この回2死一、二塁で、エース鈴木が投じた直球が甘く入り、遠軽の4番柳橋に中越え三塁打を打たれた。さらに、外野からの中継ミスも絡んで3失点。

 大会前の不安が的中した。津波による被害を修復するためグラウンドは工事中で、外野練習は砂浜で飛球を捕るぐらいしか出来なかった。今年に入ってから近隣グラウンドや遠征先で連係プレーを重点的に練習したが、肝心な場面で弱点が出てしまった。

 ここに立つまでが戦いだった。「何書かれっか分かんねーからやめろ」。21世紀枠の福島県推薦校に決まった昨年11月、野球部の先輩の助言で、全員が「ツイッター」とSNS「ミクシィ」をやめた。「県16強」の条件をクリアしているとはいえ、自分たちの弱さも悪口を言われることも分かっていた。

 それでも不安は消えなかった。だが「自分たちが出来ることをやろう」(阿部)と気持ちを切り替えた。この日チームはわずか3安打だったが、全員が初球から打っていく積極的なバッティングを見せた。弱さを受け入れ、下克上の思いで臨んだからこそ全力を出し切った。

 坂本は「ここまで来られたことが自分たちの誇り」と胸を張った。ナインも試合後「楽しかった」と口をそろえ、笑顔がはじけた。津波による壊滅的な被害も、甲子園に立つ不安も乗り越えた。その先に、心から楽しめる場所があった。
 ◆1時間16分

 遠軽−いわき海星の試合時間は1時間16分。大会最短の1時間15分(32年京都師範−海草中)に1分差だった。


[ 匿名さん ]
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