学校行事の大ケガを「自業自得と罵る教員」のなぜ
生徒は周囲からも誹謗中傷を受けてPTSDに
東洋経済 2021/06/14 10:00 より引用
■殺到した誹謗中傷や嫌がらせ
もっとも、一家を苦しめたのは、検証の労力よりも、周囲の無理解や誹謗中傷、嫌がらせだった。加奈子さんによると、報道直後から連日、深夜に自宅へ無言電話が掛かってきた。自宅ポストでは、郵便物が荒らされたり、なくなったりすることがあった。文也君の自転車に、タイヤが外れるような細工をされたこともあるという。
検証に向けての情報収集も容易ではなかった。トーチに参加した生徒の保護者らに対し、加奈子さんが「LINE」を使って情報提供を求めても、しばしば保護者から無視される。
「直接会った人からは『(文也君が)下手くそだったからやけどしただけなのに、何してくれてんの?』ということも言われました。ネットでも『私はトーチの被害者を知っています。すごい問題児です』と書かれたりもしました」
被害が深刻になるにつれ、文也君の精神状態はさらに悪化した。自分を責めて自分を殴るといった自傷行為に走る。
その都度、夫の和也さん(仮名)が力づくで止めた。自殺願望が芽生え、「極楽にいきたい、助けて」と泣きながら訴える日もあった。
「このままではうちはダメになる」と感じた加奈子さんと和也さんは2人で話し合い、事故の7カ月後、市外へ引っ越した。