「神芝居」場面１７「餅は餅屋」
○野○蔵が手配した鳶職人達が近在の神社仏閣から調達してきた屋根瓦で屋根葺きが無事に出来てミキは「ホンマにありがたいことやで」と云うと周りの幹部連中も「ホンマに神社仏閣の瓦は上等なモンを使っとる」「エエ普請になったわ」「ホンマにありがたいわ」と口々に云うてました。
ある日、大勢のの神主と僧侶が押し掛けて来ましてん。応対した伊○に一人の神主が「あんたとこの屋敷の瓦はウチの本殿から盗んで行った瓦やがな。返しとうくれなはれ！」
また風格のある僧侶が「あの軒瓦はウチの本堂の軒瓦や！」神主と僧侶の全員が「瓦を返せ！」「バチか当たるぞ〜」「何が神さんや！」と騒ぎだしました。
対応していた気の弱い伊○はオロオロするばかりでしてけど、後ろからやって来た○野○蔵がいきなり「ワレなんどい？なに因縁付けに来とるんじゃボケ！」「この瓦がオンドレらの瓦やちゅう証拠はどこにあるねん。瓦にオノレの名前が書いとるんか？今日はワイの機嫌がエエから許したろ。足元が明るい内に帰れアホんだら！」と背中一面に描かれた鮮やかな昇り龍に花と唐草模様の伝統的和風絵画を見せながら凄んで云うと、押し掛けてきた神主と僧侶は怯えながら帰っていきましてん。
その頃騒ぎを聞いた○作や○澤がやって来て「さすがに○野はんや、喧嘩腰でやって来た神主や坊主が怖がって帰って行きよった」
「ホンマに餅は餅屋や！」
○野○蔵は「あんなん素人やからナンボようけで来てもたいした」
ミキは「人が神さんを助け、神さんが人を助ける。ホンマにありがたいことやで」と訳の判らん事を云うてました。
神さんと僧侶の押し掛けてきた恐ろしさでガタガタ震えていた伊○は腰が抜けて暫くその場から立てませんでした(笑)
