過労に追い込まれるオーナー夫婦
まず、今回も問題となっているオーナーが過労になる構図は次のようなものだ。
大手コンビニチェーンがオーナーを募集する際には、最初から家族で応募することが奨励されている。
夫と妻ふたりとも店舗で働くことが24時間営業を続けるのに不可欠なのであり、本部はそれを前提した募集活動を行っているわけだ。
実際、セブンイレブンでは「最初は夫婦で12時間ごとに担当してください。深夜はオーナーが12時間、そのあとは奥さんが昼間12時間…深夜にシフトに入って少しでも人件費を減らせば、ぜんぶ自分のお金になりますよ」とオーナーに伝えていた事例が報告されている。
(コンビニ加盟店ユニオン・北健一『コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実』)
しかも、オーナー自身は、代わりを見つけられないと休むことができない。
セブンイレブンには「オーナー業務代行制度」という本部従業員が派遣される制度が用意されているようだが、これは葬儀の時以外に使うことはできなかったと冒頭のオーナーは訴えている。
また昨年起こった福井豪雪の際には、雪で安全性が確保できないとオーナーが訴えたにもかかわらず本部は営業停止を認めず、交代できる他の従業員も雪で出勤できないため、オーナーは雪かきなどをしながら50時間働き続けたという。
さらに、オーナーたちへの最大の圧力は、は24時間営業をストップした時に請求される違約金の存在だ。
報道によれば予め契約に含まれているようだが、冒頭のセブンイレブンオーナーは、1日わずか5時間、それもほとんど客も来ない1時から6時を閉めただけだが、本部から1700万円もの違約金を請求され、強制解約を通告されたという。
このように、24時間店を開け続けることで、オーナー自身がますます過労になっていく構造が作られている。