高校生のギヨームさんは二段。お父さん、お姉さんも剣道をやっていて、4年前にスイスの全国大会に応援に行ったときに自分もやってみたくなった。
剣道を始めてから、もっと自分に自信が持てるようになったと思う。大学では地学や生物を専攻したいが、勉強で忙しくなっても剣道は続けたい。試合では勝つことも負けることもあるが、勝敗には関係なく剣道がただ楽しい。楽しむためにやっている。東京、京都、大阪、広島など日本の各地を旅行した。日本の清潔さ、人々の優しさ、相互尊重の精神が大好きだ。
剣道歴29年にもおよぶオリヴィエさんは、欧州で数少ない七段の先生。
剣道で最も面白いのは「人をつくる過程」だと思う。
指導者として、若い世代には「すぐに結果を求めない」よう教えている。盆栽のように時間をかけて「人をつくっていく」ことが剣道の醍醐味だ。
武道ではスポーツのように「勝利」という到達点はないし、「完璧」を求めるものでもない。若いうちは勝ち負けを楽しんでいても、時とともに「終わりのない道」に気づき求めるようになる。
体力的にも剣道なら年齢に応じて学び続け、成長を続けることができる。50歳からでも、何歳からでも始められるし、家族のようにあらゆる年齢層の人々が交流できるところが魅力だ。
