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2020年に向けた禁煙運動が、とうとうここまできたか——。
ベランダで喫煙する様子から名づけられた「ホタル族」。
彼らが“絶滅の危機”に追いやられているのだ。
コトの経緯はこうだ。
ベランダでの喫煙によって生じた受動喫煙被害の被害者が「近隣住宅受動喫煙被害者の会」を結成。
年内にも、日弁連に人権救済を申し立てる予定だ。
申し立て内容は、「日弁連が国に対して『ベランダ喫煙禁止法』および『近隣住宅受動喫煙防止法』を制定するよう勧告する」というもの。
既に同会の会員数は450人を超え、申立人登録数は250人近く集まっている。
受動喫煙問題に詳しい木川雅博弁護士はこう言う。
「申し立てが審査および調査を経て、措置相当と判断されれば、日弁連は勧告・要望等の措置を採ります。今回のケースで目指すところは法律または自治体の条例制定なので、関係省庁や自治体に勧告や要望を申し入れます。事態の改善が見られない場合は、勧告や要望を受けて行った対応内容を照会し、照会に対する回答が不十分な場合は再度の照会を行うことがあります。しかし、留意すべきは、法的拘束力がない点です。このケースの場合、意味がないとまでは言いませんが、法律や条例の制定まで持っていくことは難しいと思います。ただ、受動喫煙の問題が改めて顕在化することで、国民の皆さまの間でしっかり議論される機会が増えれば、と思います」
仮にベランダでの喫煙を禁止する条例を制定しようとしても、マンションや家の所有者の意思との兼ね合いもある。
管理者または所有者が禁煙にしたくないにもかかわらず、それを無理に自治体の条例で縛ることは現実的に難しいのだ。
マンション管理業を調査・研究する「マンション管理業協会」に聞いた。
「管理規約で喫煙禁止が認められるかどうかは我々では判断できません。今のところ、ベランダでの受動喫煙防止に関する声が寄せられていますが、過去の判例や弁護士の見解を紹介するにとどまっている状況です」
家の中でも煙たがられ、ベランダに出ても煙たがられるホタル族。
彼らが“光る”場所は一体どこになるのやら。
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