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すき焼きや肉じゃがに「しらたき(糸こんにゃく)」を入れると、肉が硬くなることは、長年信じられてきた料理の常識だが、こんにゃくの生産加工メーカーで作る日本こんにゃく協会は、外部の検査機関で比較試験を行った結果、しらたきの有無にかかわらず、すき焼きの肉の硬さに変わりはないことが確かめられたと発表した。
「しらたき」は味が染みやすく、歯ざわりが良いことから、すき焼きや肉じゃがを引き立てる食材として使われるが、凝固剤として使われている「水酸化カルシウム」のアルカリ成分が肉を硬くするとして敬遠する人も少なくない。
しかし、日本こんにゃく協会によると、しらたきに含まれているカルシウム成分は、100グラムあたり75ミリグラムで、同じすき焼きの材料である「焼き豆腐」の半分程度だという。
そこで協会では、第三者機関である「食品環境検査協会」に委託して、すき焼きを作る実験を行った。
実験では、(A)しらたき無し、(B)水洗いしたしらたきあり、(C)下茹で後に水洗いしたしらたきの3パターンを市販の割り下に入れて加熱したものを用意。
霜降りの多い国産和牛と、赤身の多い米国産の肩ロースを各100グラムずつ用意し、それぞれ、30秒〜1分加熱したものと3分加熱して、5人のモニターに噛んでもらって硬さを比較。
その結果、しらたきの有無や処理方法にかかわらず、30秒〜1分加熱した肉では、和牛は非常に柔らかく、米国産牛も柔らかいままだった。
一方で、3分加熱したものでは、和牛は柔らかかったが、米国産牛は硬くなったとという。
割り下のpHも測定したが、いずれも4.9〜5.0の範囲で大きな差はなく、酸性だったという。
この実験結果から、こんにゃく協会は、「しらたきが肉を硬くする」は「風評」であり「誤解」だと断定し、カロリーの低いしらたきは、カロリーの過剰摂取を抑える効果があるとして、「しらたきを使った本来のすき焼きの美味しさを味わう人が増えることを期待する」と述べている。
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