📔 日記･今日の出来事

黄昏時に……


堀端を通って帰ろうと思ったのは
ほんの気紛れだったのだ。

暫く歩くと
子供が一人、一目散に駆けて来る
私に気付いて立ち止まった顔は
驚きの中に、確かに恐怖があった
一瞬、身震いをした様にも見えた
子供はすぐに走り去ってしまった

堀端を歩く内、不意に蘇える記憶
丁度、こんな日暮れだった。

堀に落ちたボールを覗き込む友人
その友人の背中を見ている自分
運動も勉強も、クラスで一番の
その友人の背中を、私は押した。
落ちた友人を確かめる事も無く
私は駆け出した。そして、
誰かとぶつかりそうになった

私は凍り付いた様に立ち止まった。
振り返り、忙しなく視線を動かした
だが、少年の姿はどこにも無かった

背中を幾筋も冷たい汗が伝った
ヨロヨロと、堀を覗き込んだ

黒い水面に、白い小さな顔があった

意識の奥に押し込めていたその顔は
私を見つめていた。
そして、暗い水の底へと
ユックリと沈んでいった。

続きをお願いします。

>>2
有難う御座います。
残念ながらショートショートですので
この話はコレで終わりです。

お詫びに？
前に書いた、短いのをご紹介します。



ふと、名前を呼ばれ携帯から顔を上げた。
女は、青白い顔でテレビを見つめていた。

昨夜からの大雨で、隣県の山間部で土砂崩れが起きていた。

その復旧作業中に、女性の遺体が発見されたらしい。

遺体は死後数ヶ月経っていた。
山中に埋められていた遺体が土砂崩れで現れたのだ。

殺人・死体遺棄事件だった。

ふうん･･･オレは携帯に視線を戻した。

「何それ。まさか、忘れたとか言わないよね」
女がヒステリックな声を上げた。

忘れた訳じゃない。オレがこの手で殺し、この女と二人で埋めたのだから。

あぁ、ウザイ･･･
オレの秘密を握り、優位に立った気になっている女……
オレはゆっくり立ち上がった。

教えてやろう。この女に。
オレは今までに四人殺している事を。

そして、お前が五人目になる事を。

煎餅さん、ありがとうございます。
又楽しみにしてます。

人で無く、禽獣で無く
逢魔時。黄昏時。誰そ彼時。
辻より出で来たるは人為りや……


古より、
異界との端境と伝わる処在り

異界とは彼岸に非ず

彼岸と此岸を行き来し人は聞こえども
異界と行き来しは妖魔妖怪の業なりや

世に言う幽霊怨霊も元は人なり
死して後彼岸へと渡りぬも
残りし想いに戻されしものなり

また
妖魔妖怪、物の怪と言えど
如何様にも様々のもの有りて
まさに八百万の神とも、その数を競わん

歳経たる禽獣が化けたるも数多有りて
唐土より来る千年狐狸精はその最たるに
本邦にては白面金毛九尾の狐と呼ばれん

長きに渡りて情を受くれば
命無き物とてまた付喪神となれり
付喪とは九十九とも言いて
これ、長き時、万物を指す言葉なり

また
妖怪共は自ら生まるる事を知らず
人の想念にて湧き出るものなり

即ち
其処此処に吹き溜まりし闇に
ふと身震い起きし時

ソレは、其処に居る……

お邪魔します。怪談話のお礼を１つ。


妖怪「ホームレス女」をご存知ですか？
私は、長年水商売をしていました。本当に色々な方とあいました。強烈だったのは「ホームレス女」と呼ばれたおばさんです。まずあまり店を選ばなかったら水商売は、雇ってもらえますがそのおばさんは、雇ってもらえません。何故なら、体を張るのが当たり前で、風俗店みたいな事をやるからです。もちろん生舐めです。だから色々な店を首になり今も宿無しで暮らしています。風俗店に働けばいいのに水商売にこだわります。今もその「ホームレス女」は、風俗は、嫌だとキャバクラの面接にいってます。
先日も私の友達がキャバクラ通りでその人をみたといいます。もう５０代だとおもいます。

全国の飲み屋を回っていて実家が埼玉だし、お気に入りのホストに貢ぐ為に埼玉が主点です。
父親がみんな違う子供が５人いるとか居ないとか実話です。

サザエさん。有難う御座います。
摩訶不思議で不可解な事で、人を超えるモノは居ませんよね！
この世で一番解り難いもの。ソレが人間と言う生き物でしょう。


今日は少し長くなりますが
良く知られたお話を……


昔むかし……

飴屋の亭主が店仕舞いしようと店先へ出ると、
女が一人立っていた。
夕闇に溶け込みそうに、悲しげに俯いていた。
透けるように、色の白い女だった。
飴を売ってくれ。と言う。
一文しか無い。とも言う

見れば、粗末でも無い身なりに首を傾げながら、
僅かな飴を渡し、一文銭を一枚受け取った。
女は、黄昏の薄闇に紛れる様に帰って行った。

翌日も、同じような時間に女はやってきた。
その翌日も、その翌日も……

七日目。
今日は来ないのか……
気になって店先に出て見ると、女は居た。
お金が無い。と言う。
金は無いが……
そう言って、赤い内掛けを差し出した。
内掛けは、僅かに湿っていた。

翌日。店先を通り掛かった男がいた。
男は驚いたように飴屋へ駆け込んで、
店先に掛けていた赤い内掛けを指差した。
死んだ娘に持たせた物だと言う。

亭主が経緯を話すがらちが明かない。
結局。娘の墓を掘り返す事になった。

少し掘っただけで、変異に気が付いた。
赤ん坊の声。確かに、墓の中からだった。
男の子を抱くその女は、
間違い無くあの女だった。

娘は、身ごもったまま亡くなった。
そして、墓の中で赤ん坊を生んだ……

乳の出ない身で赤子を育てようと、
三途の川の渡し賃の六文を飴代にしたのか。
銭が無くなり、内掛けを飴に替えて……


有名な「子育て幽霊」のお話し……

この時生まれた子供を主人公にしたお話が
「墓場鬼太郎」後の「ゲゲゲの鬼太郎」です。

どこへ……と訪ねられ
男は一山超えた先の村の名を言った。
日は、丁度真上に有った。


男の女房は、難産の末に死んだ。初産だった。
生まれた男の子は、後添いを貰わず男手一つで育てた。
息子は、丈夫に育ってくれた。

ある日の夕暮れ。
見知った子が三人、駆けて来た。
皆、顔色を無くしていた。
息子が、山から下りて来ないと言う。

それから数日、男は昼夜を分かたず探し回った。

神隠し……
それでは済ませない。
済ませてなるものか。
だが……見つからなかった。


隣の村で噂を聞いた。

あの山には、出るらしい……
子供の形をした山の精だと言う。
悪さはしない。ただ、後を付いて来るのだと言う。
……それは……

険しい山道も、もう少しで登り切る頃。
男は歩を止めて大きく息をした。
来てる……
少し前から感じていた気配は
今は、ハッキリと感じ取る事が出来る。

何度か草鞋を直す素振りで伺うが
木の陰に隠れてしまい、その姿は見えない。
だが、木の陰から覗くカスリの柄は
確かに見覚えが有った。
坊……

山道も終わりが近くなる。日も傾いていた。
山の精は、山から出る事は無い……

男は適当な切り株を探し、握り飯の包みを置いた。
数歩進んで、男は思い切って振り返った。

何も居なかった。
気配も消えていた。

そして握り飯の包みも……


この話は
丹沢地方に伝わる「山精」「後追い小僧」
を基にして書いてみました。

おはようございます(^^)/
思わず読み耽ってしまい・・・やばっ

時間が。。。

勉強になります

コメント。有難うございます。

……

七蔵は、晩の用意をしている娘を呼んだ。
一人娘は今年十六になる。

女房が逝き、父娘で暮らしている。
年頃になった娘に……
古着屋で目に留まった小袖を
七蔵は無理をして買った。

小袖を手にした娘の顔が、花が咲くように明るくなった。
七蔵にはそれが何より嬉しかった。

娘が寝付いてしまったのは、間もなくだった。

医者を頼み。遠方の薬屋へも行ったが、
娘に回復の兆しは見えなかった。

日に日に弱って行く娘の慰めにと
いまだ袖を通さずじまいの小袖を、
衣桁に掛けて枕元へ置いた。


風がソヨとも吹かぬ昼下がりだった。
旅の乞食坊主が玄関先に立った。
縁起でもない……
七蔵は坊主を追い払い、引き戸を閉めた。

その晩。
頬がこけ、落ち窪んだ目を閉じている娘の寝顔を
七蔵は見つめていた。

サワサワ……サワ……
衣擦れの音……
枕元に掛けた小袖が揺れていた。
燭台の蝋燭の灯はユラリともしない。

ゾクリ。七蔵の背を冷たいものが走った。
繰り人形の様に、ギリギリと首を捻り
小袖を見上げた。

垂れていた右の袖が、ユラリと持ち上がる……
その袖口から、真っ白な手が伸びていた。


この話は
「小袖の手」
と言う怪異を元に書いて見ました。

博士

応援してます
(´∀｀)

≫11

怖いよ
煎餅さん、

楽しみに読んでます(^O^)／

昔。
おさん狐と言う歳経た雌狐あり。
数百匹の眷属を従え、京参りすら行うと言う。

ある日、気まぐれに獅子に化けたおさん狐。
仕掛けた相手がたいそう偉丈夫な男で
見事に見破られ、囚われとなってしまった。
まさに火あぶり、と言う所で許しを請うた。
許してくれれば、
大名行列に化けて見せよう、と言う。

いかに名の有る妖弧でも大名行列とは……
だがその眷属は数百とも言われる老弧の事
誠ならば……見て見たいものだ。

よし解った。
コレが最後と言うからには
今後一切、人を化かす事はならん。

コン。
一声鳴いて、おさん狐は闇へ消えた。

男の名は与三郎と言った。
狸も狐も、人を化かす事に変わりは無い。
だが、
人はなぜか、狸を、狐より一段低く見る。
狸に勝る狐。
それも、名の有る妖弧を懲らしめたのだ。
与三郎は満足だった。

翌日。大名行列は本当にやって来た。
与三郎は驚き、愉快になった。

与三郎は行列に駆け寄り、大声で呼ばわった。
おさん狐よ、見事じゃ、見事なものじゃ……

侍に化けた狐。の、筈だった。
だが侍は、行列は本物だった……

与三郎は切り捨てられ、道脇に転がった。

行列が過ぎ、村人が与三郎の亡骸に駆け寄る。
だが其処に転がっていたのは、
大きな狸の死骸だった。

与三郎は、化け狸だったのか……
村人は思案に暮れた。

コーン……
遠くで狐が一声鳴いた。


このお話は、中国地方に伝わる
「おさん狐」
を元にして書いてみました。

楽しみにしています
ヽ(・∀・)ノ

おはようございます(^O^)／

読みふけりました

わからん漢字もありましたが。。。
タヌキとキツネ。。。わたしはキツネかな。。

今晩は。
コメント有難うございます。


昔むかし……

故郷を捨てたのは何時だったか。

海を渡り。山を越え。
この地に辿り着いて、どれ位経ったのか。

鉄の無かったこの地で鉄を作り
新しい田畑を開いた。
貧しかった土地の者も、今では随分と豊かになった。
平穏に暮らしているハズだった。
しかし……

何時の世も、ドコの国でも。
余所者の台頭は妬まれ、疎まれる。

異人だ、騙されるな、あいつは……鬼だ。

都から、討伐の兵が来ると言う。
誰が、どの様な虚言を持って注進に及んだものか
今となっては知るよしも無い。
元より、
まつろわぬ異人の一族を討つ口実に過ぎぬ。

戦は、問答無用で始まった。

敵の軍勢が放つ矢が、雨アラレと降り注ぐ。
岩陰で矢を防いでいたが、
私は左目に流れ矢を受けてしまった。
滴る血で、河が赤く染まっていった。

私は堪らずキジに姿を変えた。
敵兵で埋まる地上を避け、空へと逃れたのだ。

だが、敵の大将は流石に手強かった。
その姿を鷹に変え、天高く舞い上がった。
空で、鷹に適う鳥は居ない。

私は、今度は鯉に姿を変えて河の中へと逃れた。
水の中では、いかな鷹でも手は出せまい。
しかし
鷹は、鵜へとその姿を変えて追ってきた。
河中で、鵜に適う魚は居ない。

遂に私は捕らえられた。
そして、首を刎ねられた……


今回は趣向を変えて
「桃太郎の鬼退治」を、
実況風&鬼目線で書いて見ました。

刎ねられた鬼の首は
それでも息絶える事無く……

この後
「吉備津神社」の
鳴釜の伝説へと続くお話でした。

　　漢字が。。。難しい
　　勉強しなきゃね。。。

何となく修正を始めたら、間に合いそうにないので

本日は休刊させて頂きます。

ゴメンナサイ！

次回（明日）は、二部構成となる予定です。
宜しくお願いします。

馬鹿がい芳美ちゃん電話出なさいよ、逃げ回らんと。恐いのか？優しいわよ！

煎餅ｻﾝ…みっけ

また来るﾈ

昔むかし。

田舎の、その又外れの寺での事。
老いた和尚が一人
膝に抱いた猫に語りかけていた。

お前がこの寺に住み着いて、もう随分と経つが
今では自分の食事も事欠く始末。
もはやお前に分け与える物とて無くなった……

猫は膝を降り、一頻り伸びをすると
ニャーと鳴いて庭へ出た。

それ切り、猫は姿を見せなくなった。


数日後。隣の村で……
庄屋の息子が亡くなった。急な病だった。
村人が手を合わせる中、
棺桶が屋敷から出ようとした時だった。

真っ黒な雲が空を覆い、風が木々を揺らした。
棺桶がガタガタと音を立てたかと思うと
ユラリと中に浮いた。
見上げるほどの高さまで浮き上がり、ピタリと動きを止めた。

火車だ。火車が出た——
火車とは、
遺体を奪うと言われる、広く知られた妖怪の事。

腰を抜かすもの。逃げ出すもの。念仏を唱えるもの。
大変な騒ぎとなった。

だが。騒ぎはすぐに収まった。

化け物が現れるような気配は無い。
風も収まった、雲は消え、青い空が戻っている。
ただ、棺桶が浮いている。それだけだった。

さてそうなると、どうやって棺桶を戻すのか。
竹竿で突いてもビクともしない。
かと言って、肩車で届く高さでは無い。
なにより、下手をして遺体が落ちてきたら大変だ。

村人は方々を駆け回り、コレはという者を連れてきた。
坊主、神主、自称陰陽師、祈祷し、まじない婆……
経を読み。念仏を唱え。護摩を焚き。塩をまき……

だが、棺桶はピクリとも動かなかった。

　　　　　つづく！

つづき……

托鉢に回る年老いた僧があった。
破れた笠、擦り切れた法衣。
使い古した錫杖（しゃくじょう）が
シャン。シャン。と鳴る。

騒ぎに気が付いて笠を上げると
庄屋と思しき立派な屋敷が見えた。
人が駆けて来たかと思うと。
老僧を引き摺るように屋敷へ引き入れた。

宙に浮く棺桶。

何とかしろ。と言われても。
坊主に違いは無いが、法力などは持ち合わせて無い。
まして、化け物、物の怪の類は……専門外だ。

そこを何とか。何とかと言われても……

押し問答の末。
老僧は覚悟を決めて棺桶に歩み寄った。
シャン……
錫杖を打ち、経を読み始めた。

おぉ……
取り巻く村人がざわめいた。
宙に浮いた棺桶がユラユラと揺れ始めたのだ。
そして、静かに下りて来た。


見た事も無い程の礼金を受け取ると。
老僧は足早に屋敷を出た。
怪異を収めたのが自分の力では無い事を、
誰よりも知っていたからだ。

全く……
不思議な事も有るものだ。

帰路を急いでいると、
辻堂の影から見覚えの有る猫が歩み出た。

ややっ。お前は……

猫は老僧を見上げ、一声ニャーと鳴くと堂の影へ消えた。
その尾は、二本に分かれていた。

その後。この話がの評判となり。
小さな寺は長く栄えたような。

　　　おしまい。


このお話は
猫が恩返しをする「猫檀家」と言うお話と
妖怪の「猫又」「火車」等を元にして書いて見ました。
※火車と猫又は同一視される場合が有ります。

おぉ〜

煎餅さん。。。

読み耽ってしまいました<(_ _)>

>>24
いつも有難うございます。

それにしても
「誤字」「脱字」「余字」
次回からはもっと気をつけます。

今回も文字数の関係で
二回に分けてお送りします。


付喪神（つくもがみ）の憂鬱。

ワシは「臼」（うす）だ。
そう、餅をつく時に無くてはらぬ、あの「臼」だ
この納屋に押し込められて、随分長い。
ソレで無くとも、年に一度か二度しか外へ出る事は無かったのに。
この家は、いつから餅をつかなくなったのだ……

おっさん。何をぶつぶつ言ってんだよ。
とうとうボケやがったか。

ん。杵（きね）か。何か言ったか。
そう言えば、お前も随分長いのう。

おっさん程じゃねぇよ。
あんたなんか、古過ぎてアチコチひび入ってるじゃねぇか
そんなんで餅なんかつかれたら、割れるぞ。

馬鹿モノ。縁起でもない事を言うでない。
まだまだ若いモンには負けん。

おっさん。今時「若い臼」なんか居ないって。

居ない事があるか、居なかったらどうやって餅をつく。

あのぉ〜。チョット、よろしいですかぁ。

あん。大八車じゃねぇか。どうしたぃ

えっ。イエ。私、リヤカーですよぅ。似てますけどぉ。
そんな事よりぃ、無くなるんですよぅ。

何を言っとるんだ。お前は。
解る様に言わんか。まったく、最近の若いモンは。

まったくだ。
ヤイ、大八。な・に・が、無くなるんだよ。

ココですよぅ。この納屋。と言うかぁ、この家が無くなるんですよぅ。

なにぃ〜（臼と杵がハモってる）

　　　つづく

　　つづき

三月ほど前にぃ、ココのジイ様が亡くなったんですよぅ。
ご存知無かったですかぁ。
それでぇ、ココを売るとか売らないとかの話でぇ

何。孫七が死んだのか。あのハナタレが、死んだのか。
人間の一生とは短いものだのぉ。

いい機会だから、おっさんもドウだい。

きさま。どさくさマギレに何を言う……

まぁまぁ。それで、ですよぅ。
問題わぁ、私達の身の振り方ですよぅ。

身の振り方も何も、ワシが居なかったら餅がつけんぞ。

だ・か・ら。今時は、家で餅なんかつかねぇって。
買うんだよ。餅は餅屋で買えって言うだろ。

あのぅ。ソレ、少し違うような気がしますよぅ。

ふん、杵（きね）は薪にされて燃やされるな。わははは。

だ・か・ら。今時、薪なんか使わねぇよ。


キリが無いので、おしまい。
元ネタは「トイストーリー」です。

ゴメンナサイ！
次はマジメにやります。

面白い(o^^o)

ごめんなさい。
今回も二回です。



昔。
小さな漁村での事。

茂七は、隣村からの帰り道を急いでいた
庄屋の使いも無事に済み
思いを寄せる娘への土産も買うことが出来た
少しでも近道をと、浜辺を急ぎ足に歩いていた

それに気が付いたのは、目の前まで来てからだった

子供程もある大きな魚が打ち上げられていた
駆け寄ろうとして、足が止まった

これは……人魚

浜へ流れ着く物は、海からの賜り物と言われ
庄屋へ届け出て、村中で平等に分けるのがシキタリだ

鯨でも上がれば、暫くは村中が潤うのだ

話に聞く人魚を前に、庄屋は暫く思案した
結局、シキタリに従う事にした

その夜。村の主だった男達が庄屋の屋敷に呼ばれた

「こりゃぁ、何だ」
「人魚の肉だと」
「人魚……」

不老不死になると云われる人魚の肉
しかし、話に聞くばかりで見たものは居ない

結局、その場で口にする者は居なかった
「気味が悪いから、ドコゾで捨ててしまおう」
そう示し合わせ、男達は屋敷を出て行った

　　つづく。

　　つづき


男達が帰るのと入れ違いに
一人、遅れて来た男があった

茂七が思いを寄せる娘の父親だ
「これを……」
茂七は人魚の肉と、娘への土産を託した

翌日、漁から戻った父親は異変に気が付いた
何時も浜まで出迎える娘の姿が無いのだ
急いで家へ戻ると、娘は死んだように眠っていた
傍らに
茂七の土産と人魚の肉があった
「まさか、食ったのか」

夕方、娘は何事も無かったように起き上がった

以来。娘は歳を取らなかった

時が流れ、年老いた父親が死んだ
やがて、茂七も死んだ
それでも娘は、若い娘のままだった

村人は、歳を取らぬ娘を気味悪がり
忌み嫌うようになった

娘は世を儚み、尼になった
そして、人知れず姿を消した



数百年を生きたと言われ
日本各地に言い伝えが残る
「八百比丘尼」（やおびくに）
その誕生の伝説を
お話風に書いて見ました。

ほ〜ぉ。毎日楽しみで
チェック欠かせません。
また、お願いしますね

みなさん。暖かい書き込み
有難う御座います。

どっちへ向かうのか、まだまだ定まりませんが

お暇な時にでも、読んでもらえればサイワイです。

昔むかし。

老女が一人、暮らしていた。
ある年。
娘の嫁ぎ先の村で悪い病が流行っり
娘夫婦を初め、多くの村人が死んだ。
老女は、一人残された孫娘を引き取った。
しかし
貧しい暮らしはマスマス貧しくなった。

とうとう
明かりを点す灯油も尽きてしまった。

親を亡くした子は、暗闇を怖がって泣く。

何とか明かりを……
眠るまでの、僅かの間だけでも……

老女は思い悩み、氏神様に願いに行った。

ひざまずき、願っていると。
神殿に明かりが点っているのに気が付いた。

外はまだ明るい
それに、灯油入れが出したまま……

老女は、灯油入れを抱えて駆けていた。
孫娘の待つ、我が家へ。

老女を見掛けた村人が数人で追う。
神に捧げる灯明の油を盗むとは。
神をも恐れぬは、魔物か鬼か……

何としても逃げて、孫娘の元へ……
息は切れ、髪は乱れ。草履は脱げ、着物ははだけ。
見開いた眼は真っ赤に染まっていた。

怒り。恨み。絶望。そして、孫への強い思い。
全ての思いが混じり合い、身も心も焼き、焦がした。
もはや老女は人では無かった。
一つの大きな火の玉となって飛んでいた。

村人は追う事を止め、立ち尽くした。
追っていたのは、確かに老女だったハズだ。
だが老女は鬼へと姿を変え、今、火の玉となって飛んでいる。

ヒラリ。火の玉は向きを変えた。
村人は、動く事も出来ない。

近づいた火の玉は、炎の塊だった。
そして、炎の中には、確かに老女の顔があった。

火の玉は、再びその向きを変え
立ち尽くす村人を残して飛び去った。



これは
「姥ヶ火」（うばがひ）
という怪火を元に書いて見ました。

昨日はお休みしました。
ごめんなさい。



白い砂浜を断ち切るように
切り立った岩山が海に突き出ている
確かに、アソコから落ちれば、命は無いだろう。

だが……

去年、友人が死んだ。溺死だった
あの岩から飛び降りた訳では無い
この綺麗な砂の浜で、溺れたのだ

有り得ない……

酒に酔っていたとは思えない
アイツは一滴だって飲めやしない

以前から何かと噂の耐えない浜だった
日暮れ近くになると人影が絶えるのは
噂の所為なのだろう

日もすっかり暮れた頃
マットを敷いて横になった
空一面の降るような星に、
体ごと吸い込まれそうだ

どれ位経ったのか
気配に体を起こした

星明りを透かすと
水際を数人、歩いて来るのが解った

一人、二人。七人……

来た。噂は本当だった

七人は立ち止まり、コチラを見ている

震える足で立ち上がり、
吸い寄せられるように、七人に歩み寄った

顔が解るほどの近さまで来た

お、おまえは……

友人は、確かにその中に居た……


翌朝、砂浜に水死体が横たわっていた

「何もココで野宿しなくてもなぁ」
「今年もまた死人がでたか」
「やっぱり、コレもそうなのかな」
「大っぴらには言えないが、そうだろうなぁ」

七人の幽霊が出る言う浜
出会うと、命は無い
一人命を落とすと、幽霊が一人成仏する
だから、いつまでも七人のまま
減る事も無ければ、増える事も無い



幽霊・怨霊の類では、恐らく最強と思われる

「七人みさき」

元は戦国時代までさかのぼる
この集団の亡霊の伝説を、
現代にして書いて見ました

大きな腹を抱え、お吉は山道を急いでいた。
嫁いで三年、やっと授かった子供。

無事に産む事が何より大事……
夫にそう言われ、お産のために里へ向かっていた

産気づいたのは、峠道を登り切る前だった。
それで無くとも休み休みの道程で、日は傾いている。

とうとうお吉はうずくまってしまった。

日もとっぷりと暮れた頃
山の暗闇に赤ん坊の泣き声が響いた。

襦袢や長着の袖を千切って赤子を包み
一心地付いた時、周りの異変に気が付いた。

灰色の毛並みの大きな犬が、何頭か見えた。

これは……送り犬……
夜の山道を歩くと、後を付いて来る。
その対応を間違えると、食われてしまうと言う。

今のお吉に、逃げる力は残って無い。

食うなら、食うがいい。その代わり……
この子に一つのキズでも負わせたら……

しかし送り犬達は、何やら辺りを伺っている

ザザッ。ザザッ。
獣の足音がする。

送り犬の先に、狼の群れが居た。

送り犬は、狼から親子を守っていたのだ。

女の夫は、一人で晩飯を済ませ
ボンヤリと女房を思っていた

ガリガリ。ガリガリ。
戸を、何かが引っ掻く音。

出て見ると、大きな灰色の犬が一匹。
犬と目が合った瞬間。女房の顔が頭に浮かんだ。

もしや、お吉に、何かあったのか……

提灯を点すのももどかしく、
戸板の心張り棒を掴んで飛び出した。

翌日、
夫は日が暮れるのを待って再び山へ向かった。
女房のお吉が子供を抱えて見送った。
夫は送り犬へ、お礼の赤飯を届けた。



「送り犬」と言うお話です。
地方によって話の筋が違いますが
大体が、何事も無ければ、何事も無いと言う
「妖怪」らしい話しが多いようです。

ハンネ忘れました

>>35
は（煎・＿・餅）です。

さて今日は、
その辺に居る「妖怪」のお話し。


「雨男」「雨女」とは、良く聞く言葉です。

ドライブ行っても、旅行へ行っても
お前が（アイツが）来ると、必ず雨が……
そう言う人、居ますよね！

実は、コレは立派な「妖怪」なのです。
勿論、昔の話ですが。

その昔、
日照りが続いて収穫が心配されるような時には
恵みの雨をモタラス「雨神」でもあります。
それ以外の時は、迷惑な「妖怪」です。
落差が激しいですネ……

反対に「晴男」「晴女」も居ます。
祭りの日などは、当然のように神様扱いですが
作物の成長期に、いい気になって晴の日を続けると
これまた「妖怪」扱いをされます。

勝手なものです。人間って。
お天気の事ですが、今風に言うと
「空気読め！」って事でしょう。


似たようなモノに「雪女」「雪男」が居ます。
これはもう、レッキとした「妖怪」です。

雪女は、
美人です。例外は有りますが……
人間との間に、子供作っちゃった人（雪女）も居ます。
合って見たい気もします。少しだけ……

雪男は
だいたいが、デカクて毛ムクジャラです。
……あんまり見たく無いですネ。怖いし。


当時の人達。と言うか、
当時の社会の常識では計り知れないモノ。
理屈の解らない事がら。
そんなモノ（現象・事象・出来事など）が
時には神の御業で有り、都合が悪い事は「妖怪」の仕業。
と、言われて来たのでしょうネ


念のため……

「雨男」「雨女」は、今では立派な人間です。
間違っても「妖怪」扱いをしてはいけません。

子供の頃。
盆か正月か、毎年ではなかったが
よく、父の実家へ連れられて行った。

一人っ子の私は3つ年上の従兄弟と仲が良く
一日中、二人で遊び回っていた。

天気が悪いと家の中で遊んだ。
田舎の古い農家は、
子供が遊び回るのに充分な広さがあった。

酷い雨の日だったと思う。

従兄弟を脅かそうとして、
私は納戸へ隠れた。
初めて入る部屋だった。

積まれた座布団や、箪笥（たんす）が並んでいた。
そして、大きな葛篭（つづら）の横に
小さなお婆さんがチョコンと座っていた。
会話をしたような気もするが、良く覚えていない。

機嫌よく遊んでいる時は忘れているが
ふと気が付けば、
納戸の戸はいつも少しだけ開いていた。
隙間から覗くと、いつもお婆さんは座っていた。

小学校も高学年になると
ソレがオカシな事だと気が付いた。

従兄弟も、家の誰も、お婆さんの事を口にしなかったし
納戸以外でお婆さんを見る事も無かった。

気が付くと、少し気味が悪くなった。
口にしてはイケナイ事なのか、とも思った。

私は、ソレっきり納戸には近づかなかった。


先日。
父の実家を建て替えると言う話を聞いた。
自分には関係の無い話で、その時は聞き流していたが。
布団に入ると、不意に、あのお婆さんの姿を思い出した。

あれは何だったんだろう……
子供特有の記憶違いか。ただの夢か。

いや。
納戸に誰かが居た事は確かだ。

そして、私が見たあのお婆さんは、多分
……人では無かったのかも知れない。



西日本で広く伝わっている
「納戸婆」のお話しでした。

※ 私が見た訳ではありませんヨ！
　 あくまで、お話です。

朝マック片手に

ブルった

すごいです またお願いします

コメント有難うございます。


コトコト……
古びた木箱の中で、何かが動いている。
箱に、フタは無い。

婆ちゃんが死んだ。
婆ちゃんは、一人で、家族と離れて暮らしていた。

一人では行くなと固く言われていたが
親の目を盗んでは、良く遊びに行っていた。

ある日、婆ちゃんが倒れていた。
小さな木の箱を私に握らせ、ソレが何なのかを語ると
救急車が着く前に息を引き取った。
中学のときだった。

高校を辞めて家を出た。家出同然だった。

気箱の事は、
初めは半信半疑だった。たいした役にも立たなかった。
だが、それは念じ方が足りなかったのだ。

迷わず、心から欲する。
それだけだった。

ただ
「度を超すと、増える……食い潰される……」
婆ちゃんの声が蘇えった。

半年後、自由で気ままな一人暮らしを送っていた。
箱は三つになっていた。

不幸がかってに避けて行く、そんな感じだった。
後には幸運しか残らない……

幼なじみが死んだ。
頭が良く、学校の人気者で、イヤなヤツだった。
箱は七つに増えた。

広い部屋へ引っ越し、いい車が手に入った。
絵に描いた様な幸運に見えるかもしれない。
ただの幸運じゃない事は解っている。
だが……止まらなかった。

やがて、婆ちゃんの言葉も忘れていた。

箱は増え続けた。

当分は食うに困らない金が転がり込んだ。
親の遺産だった。

箱は、押入れ一杯になっていた。

不意に、婆ちゃんの声が蘇えった。
「七十五……超えたら……ぶり返す……」

箱は、七十六個になっていた……

コトコト……コトコトコト……
古びた木箱が、一斉に動き出した。



「管狐」（くだぎつね）又は「飯綱」（いづな）
とも言います。
その間違った遣い方を
お話し風に書いてみました。

さすが博士
(*´∀`)

まだまだ
見たい

ｳｻｷﾞに関する
妖怪話みたいなの
ｯﾃ…

ありますｶ…？

怖い。。煎餅さんのアレンジの仕方
の上手さも。。。怖い。。

「ウサギ」ですか……う〜ん……

！ 仏教の有名な説話に

ある山で、
猿と狐と兎の三匹が仏教の修行をしていました。
そこへ、
みすぼらしい格好をしたお爺さんがやって来ます。
そして、
住む家も食べる物も無いと訴えます。

猿と狐は
山の中や人里から、食べ物を探してきます。
水を汲み、火を起こして食事の用意をはじめます、が。
兎は、
まだ、食べ物を探して駆け回っていました。

食べ物を用意できない事を責められた兎は
自分を焼いて食べてください。
と言って、火の中へ飛び込んでしまいました。

すると
お爺さんは帝釈天に姿を変え、言いました。
この兎の
（人の為に自分を捨てるような）素晴らしい行いを、
全てのモノ達に示そう。

そうして、
地上のあらゆるモノ達から見えるように
兎を月へ運びました。

以来、月には兎の姿が有るのです。
と、言うお話があります。


太陽の象徴として
三本足のカラス
「八咫烏」（やたがらす）は有名ですが
月の象徴として
「兎」が描かれる場合も多いようです。

仏教とは別に
「因幡の白兎」を初め。
地方によっては「山ノ神の化身」だったり
神話や昔話にも良く出てきます。
基本的にウサギは
「良いモノ」（悪者では無い）のようです。

妖怪は……思い付かない……
探せば、居るのか？（無責任&イイ加減）

「兎狸」と言うのが居ますが、
これは、兎に化けた「狸」の事で、兎ではありません。

外国では……
決して、イイ兎ばかりでは無いようです。
「兎と亀」では、マヌケな役ですし……

オッサンとしては
「バニーガール」も外せません！
外国のウサギには、色っぽい意味も有りそうですネ。

ありがとう

いいお話
聞かせてもらえた

ﾀﾞｶﾗ…
ゆっくり寝れそう

おやすみなさい

ﾏﾀ
来ます
ヾ(´▽｀*)

おぉ〜今回なかなか

いい話ですね。。。怖くない。。

バニーガール。。久しぶりに聞く言葉。。

昨日はお休みしました

ゴメンなさい！

今回の分がナカナカ進まなくて

結局、
今日になってしまいました

例によって、
文字数がギリギリなので

かと言って二回にする程でも無く
悩んでいるうちに……
昨日は間に合いませんでした。

と言う訳で

本文は次のレスです。

佐吉は河辺の岩に腰を下ろした。

畑仕事の帰りに、
ここで笛を吹くのが唯一つの楽しみだった。

西の空は夕日に赤く染まり、
岩の下の淵は墨を流したように黒かった。

若い女が一人、コチラを見ていた。
見慣れぬ女だった
若い女は、佐吉の笛に聞き入っていた。

若い男と女の事
言葉を交わすようになるのに、
たいした日にちは掛からなかった

娘は、美しかった。

佐吉は、娘への思いを込めて笛を吹いた。
娘はいつも、じっと聞き入っていた。

ある日、
佐吉は笛の音を言葉に換えて思いを伝えた。

娘は
我も、お前と思いは同じ。なれど……
娘は涙を隠すように顔を背けた。

ならば……
思わず握った娘の手は、氷の様に冷たかった。

娘は、佐吉の手を引いて歩き出した。

佐吉は黙って従った。
娘への思いが、湧き上がった不安を消し飛ばしていた。

「鏡岩」
大きな岩が割れたように切り立っている。
その表面は滑らかで、鏡の様に姿を映す。

鏡岩に映った佐吉の横に、一匹の大蛇が映っていた。

コレが我の真の姿……
それでも、思いが変わらぬと言うのなら、
最後に、もう一度笛を……

佐吉は笛を吹いた。

お前と結ばれるのなら……
思いを込めて、笛を吹いた。

娘は、悲しい目をして笛の音を聞いていた。

やがて、娘の身体は大蛇へと変わっていった。
大蛇は、スルスルと佐吉を包み込んでいった。

大蛇は佐吉を抱えたまま、淵の中へと身を翻した。

淵は二人を飲み込み、渦を巻いた。

渦の消えた後の淵は、ただ黒く、静かで、
ドコまでも深かった。



「鏡岩」
と言う奇岩にまつわるお話しは
イロイロと有るようですが。
今回は、少しロマンティックに書いて見ました。

さて
今回も二分割になりました。
詰めれば何とかなりそうなんですが
面倒クサイので……
ギリギリなんですけどネ……


その一


こりゃぁ、なんとした事だ……

ある里、ある家に、何人目かの子が生まれた。
男の子だったのだが……

その眼は生まれながらに眼光を放ち、
髪は黒々として波を打っていた。

異形の子。忌子（いみご）であった。

小さな里の事、噂はすぐに知れ渡った。

忌子は災いを呼ぶ……
村人は災を恐れ、赤子の処分を迫った。

その子を何とかするか、
その子を連れて村を出るか……

この子一人の為に、一家が路頭に迷う訳には行かない。
さりとて、如何な異形の子とて……

夫婦は思い悩んだ末、
産まれたばかりの赤子を、置き去りにした。
我が子を、捨てたのだ。

遠く離れた、大きな川沿いの村だった。


……つづく。

その二


髪結いの夫婦には子供が出来なかった。
毎月、近在の神社へ詣で、寺に参っていた。

その日も、
子授けにご利益があると聞いた神社へ詣でた帰りだった。

辻の脇の茂みに気配を感じ、覗き込んだ。

おぉ、なんと……

粗末な綿入れに包まれた赤子だった。
だが、只の赤子で無い事は、一目で解った。

それでも、
これは天からの授かりものだ。
異形とて、誰にはばかる事があろう。
これは……我が子だ。

丈夫な子だった。
風邪一つ引かず、多少の怪我もすぐに治ってしまった。
髪結いを教えれば、たちまちに覚えてしまった。

間もなく、お客の顔まで剃るようになっていた。
お客の評判も上々だった。

そんな或る日、
つっ…と、お客の首筋にスジが入ると
血が、真紅の玉になった。
幸いにも、指で拭っただけで血は止まった。

指先に付いた血の始末に困り、素早く舐めた。

血の味が口に広がった。衝撃だった。
何と言う……これは、甘露だ。

以来、血の味が忘れられなくなった。

養父のスキを伺い、同じ事を繰り返した。

もう少し、もう少しだけと思ううち、
つい、剃刀の刃が深く入ってしまった。

酷く叱られ、仕事を禁じられた。

川縁にうずくまり、悔やみ、悩んだ。
なぜ、あんな事を繰り返した……
なぜ、人の血は、あんなにも……

ふと川面を見遣って凍りついた。

何者だ。コレは、自分か……

川面には、鬼が一匹映っていた。
とうとう人で無くなってしまったのか……

鬼は、おびえるように駆け出した。

もう、ココには居られない。



その後、
この鬼は酒呑童子（しゅてんどうじ）と出会います。
そして「茨城童子」となって
京の都を目指すと言うお話しでした。