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>シラチャのマーサージ。 何十年の前、幼少のころ母や祖母にかわいがられたころのスキンシップの思い出がふと蘇る。
日本に家族で一時帰国した時に、黒嫁は毎晩うちの年老いた両親にマッサージをする。
孫が出来た事で、普通に接してくれているとは言え、異国の嫁を快く思っていなかった両親。
母は口には出すが、それ程ではない。
大学の教授だった親父は、口や態度には出さないが、根のところで受け入れられていないものを感じていた。
2,3週間の滞在中、毎晩1時間ずつ、二人で2時間。
かつて偉丈夫の親父も、今は80過ぎなので、1時間、さするようなマッサージだ。
ある日、ふと、うちの黒嫁が誰に似ているか、という話題になった。
親父は、「あの子はお母さんに似ている」と言った。
うちの母親は、黒嫁とは全然違うタイプなので、「えっ?」と聞き返したら、「お父さんのお母さん、お前のお祖母ちゃんだ。」と。
親父はそれ以上は語らなかったが、俺が生まれる前に亡くなったお祖母ちゃんの話はよく聞かされた。
親父は、幼少の頃病弱で、一度、伝染病に罹って医者にも、父親である祖父にさえも見放された。
その時に、一人諦めずに隔離された納屋に残り、一晩中付きっきりで親父の体をさすり続けてくれたのが、母親、つまり俺の祖母だったと。
黒嫁は長い事うちの両親に受け入れられなかったが、この「あの子はお母さんに似ている」の一言で、完全に受け入れられた、いや、多分、親父にとってはそれ以上の存在になった。