少子化が著しい現代ではほとんど聞かれることはないが、1970年代に生まれたベビーブーム世代なら、「一人っ子はかわいそう」と一度は耳にしたことがあるはず。
ところが、英ケンブリッジ大学の新しい研究で、12歳の子供にとっては、きょうだいよりもペットとの交流の方が、より強い心の絆を得られることが明らかになった。
『応用発達心理学ジャーナル(Journal of Applied Developmental Psychology)』に掲載された研究論文によると、ケンブリッジ大学の精神医学博士、マット・カッセル准教授らとウォルサム・ペット栄養センターの研究グループは、一人以上のきょうだいがいて、ペットと暮らしている12歳の子供77人を対象に、ペットとの関係性を調査した。
その結果、子供が自分の悩みや内緒話をする際には、打ち明ける相手は人間のきょうだいより、ペットを積極的に選ぶケースが多いことが判明した。
そのうえ、ペットと一緒に過ごす時間の方が、兄弟姉妹と過ごすよりも、心の充足度が高く、そういう子供は日常的に口げんかしたり、小競り合いしたりする回数が少なくなることがわかった。
人間の言葉が話せないペット相手に悩み相談とは意外な気もするが、研究グループは「ペットが人間の言葉を話せないとか理解できないという現実は、子供にとってはマイナス面ではなく、むしろ、いつだってペットは自分を受け入れてくれる親しい存在だとして、プラスになっているのです」と指摘。
さらに、以前の研究では、男の子の方が、女の子よりもペットとの親密度が高いとみなされていたが、今回の研究では、女の子の方がより多くの打明け話をペット相手にしていることがわかった。
ヨーロッパではペットとしての犬や猫の研究は進んでいたものの、子供の家庭教育や心理的発達にどうペットが影響を及ぼすか二ついてはこれまでほとんどテーマにされてこなかったという。
マット・カッセル准教授は「幼少期に動物を可愛がっていた人は、成長してからも仲間や社会との関係性を上手に築くことができるという指摘もあります」として、「文字どおりペットは家族の一員(コンパニオン・アニマル)なのです」とコメントしている。
【日時】2017年02月14日(火) 17:47
【提供】ハザードラボ