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>>43 安彦は学生運動が崩壊した要因の一つを「革命のために党をつくる」と叫び、行動に移したセクト(党派)ととらえる。 ニュータイプ論を声高に唱えるオタクの姿はそれとダブって見えた。 安彦「わかり合えない時代や社会だからこそ、わかり合えたらどんなにいいだろう—というのがガンダムの最大で唯一のテーマです。 エスパー同士でしか理解し合えない、と他者を簡単に突き放す考えは逆だと思いました」 そんな中起きたのが、オウム真理教により地下鉄サリン事件(95年)。 現代の選民思想が行き着いた果ての惨劇だった ガンダムの影響を指摘されたりもした。 「ガンダムで人生を間違う人間が出るかもしれない」。 そうした危惧がコミックによるリメーク版「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」へとへと走らせた。 安彦「ガンダムからよけいな思想を取っ払ってるんです(笑)」 「民俗浄化」という言葉を生んだ第２次世界大戦を例に引くまでもなく、 安易な民族差別意識は不幸な戦いへ結びつくことを歴史は教える。 近年、国内外で話題になっているヘイトスピーチ(憎悪表現)もその流れの中にあると言っていいだろう。「自信喪失不安の裏返し」と専門化は分析するがそんな風潮だからこそ 安彦は現代のアジア主義ともいうべき自作が中国や韓国で翻訳される日を待ち望んでいる。