周辺で汚染判明
「IRの来場者が安心して過ごせる土壌に改良するのは、土地所有者である我々の責任だ」。松井一郎市長は10月5日の市議会で、IR候補地の土壌汚染対策などの費用を公費で負担する考えを示した。
夢洲では現在、民間の物流倉庫があるだけで住民はいない。市は夢洲南側の約155ヘクタールを2025年大阪・関西万博の会場とし、北側の約49ヘクタールにはIRを誘致して積極活用を目指す。
IR候補地周辺で土壌汚染がわかったのは今年1月だった。市が主要な交通手段となる大阪メトロの新駅予定地を調査したところ、基準値の2〜3倍のヒ素と1・5倍のフッ素が検出された。夢洲は現在の環境基準が定められた2003年以前に海底のしゅんせつ土などで埋め立てられたため、土壌の一部は基準に適合しないという。
IR候補地も同じ時期に造成されているため汚染されている可能性が高い。土壌汚染対策法では、汚染土砂には厳重な管理が求められ、IRの建設に伴って大量の汚染土砂を掘り起こし、夢洲外で処理する場合には高額な費用がかかる。別のボーリング調査では、候補地で地震時に液状化の恐れがある軟弱地盤があることも判明し、市はこの液状化の対策費も負担する方針だ。
住民訴訟リスク
市はこれまで、夢洲や同じ人工島の 舞洲まいしま 、 咲洲さきしま の土地を事業者に販売・賃貸する際、契約後に土壌汚染などが見つかっても市は費用を負担しない「 瑕疵かし 担保責任の免責」を原則としてきた。
このため、市が契約している弁護士からは「追加対策費を賃料に反映しなければ公平性を保てず、住民訴訟を起こされれば敗訴する可能性がある」と指摘されている。一方、別の弁護士からは「土地処分の条件に差異が生じるのは当然」と、市の方針を追認する意見を聞いているという。
市のIR事業者公募には、MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックス連合の1事業者のみが応募し、9月に選定された。市が19年12月に公表した募集要項には、対策費を負担することは明記していなかったが、候補地周辺で土壌汚染が発覚した後の21年3月に事業者を追加募集した際、募集要項に「大阪市が妥当な額を負担する」と追加していた。
「IRの来場者が安心して過ごせる土壌に改良するのは、土地所有者である我々の責任だ」。松井一郎市長は10月5日の市議会で、IR候補地の土壌汚染対策などの費用を公費で負担する考えを示した。
夢洲では現在、民間の物流倉庫があるだけで住民はいない。市は夢洲南側の約155ヘクタールを2025年大阪・関西万博の会場とし、北側の約49ヘクタールにはIRを誘致して積極活用を目指す。
IR候補地周辺で土壌汚染がわかったのは今年1月だった。市が主要な交通手段となる大阪メトロの新駅予定地を調査したところ、基準値の2〜3倍のヒ素と1・5倍のフッ素が検出された。夢洲は現在の環境基準が定められた2003年以前に海底のしゅんせつ土などで埋め立てられたため、土壌の一部は基準に適合しないという。
IR候補地も同じ時期に造成されているため汚染されている可能性が高い。土壌汚染対策法では、汚染土砂には厳重な管理が求められ、IRの建設に伴って大量の汚染土砂を掘り起こし、夢洲外で処理する場合には高額な費用がかかる。別のボーリング調査では、候補地で地震時に液状化の恐れがある軟弱地盤があることも判明し、市はこの液状化の対策費も負担する方針だ。
住民訴訟リスク
市はこれまで、夢洲や同じ人工島の 舞洲まいしま 、 咲洲さきしま の土地を事業者に販売・賃貸する際、契約後に土壌汚染などが見つかっても市は費用を負担しない「 瑕疵かし 担保責任の免責」を原則としてきた。
このため、市が契約している弁護士からは「追加対策費を賃料に反映しなければ公平性を保てず、住民訴訟を起こされれば敗訴する可能性がある」と指摘されている。一方、別の弁護士からは「土地処分の条件に差異が生じるのは当然」と、市の方針を追認する意見を聞いているという。
市のIR事業者公募には、MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックス連合の1事業者のみが応募し、9月に選定された。市が19年12月に公表した募集要項には、対策費を負担することは明記していなかったが、候補地周辺で土壌汚染が発覚した後の21年3月に事業者を追加募集した際、募集要項に「大阪市が妥当な額を負担する」と追加していた。