📖 創作･携帯小説

犬4「しかしあれやねぇ、ジッペイさんたちもすごい人気でしょ」

犬5「ほんとほんと。いいなぁ、エサとかどんなの食ってるの??」

兄『……』

弟『兄ちゃん…』

犬6「はい出たー!w完全無視ww」

犬7「…ジッペイさんたちっていつも何も喋りませんけど、何かあるんですか?」

兄『…』ﾌﾟｲｯ

弟『…兄ちゃん』

犬6「何だよ、普通の犬とは喋りませんってか?w あァﾞ?」

犬3「お前はちょっと黙れよ」

犬1「そうだよ、失礼だよ」

犬6「何が失礼だよ、失礼なのはこいつらだろーが!」

犬2「犬6さん!!」

犬6「ふんっ」ﾌﾟｲｯ

おい、やめろよ

犬5「……で、でもさ!ジッペイさん達って本当によく似てるよね!」

犬1「う、うん!そっくりそっくり!」

犬7「確かに…。今はバンダナの色で一応、分かるけど…
　無かったら分かんないですよね」

弟『僕は兄ちゃんなんかに全然似てないですよ』

犬6「はぁ、早く車から出たいんだけど」ｶﾞﾘｶﾞﾘ

犬4「ちょっと、そんな乱暴しちゃダメだよ!」

犬1「そうだよ、僕だって早く出たいもん」

兄『俺はこのままでいい』

弟『兄ちゃん…』

兄『…ちょっと寝るわ』

弟『うん、おやすみ』

犬6「うわ、こいつ寝ようとしてるし。」

犬2「そんなのジッペイさんの勝手でしょう!!」

犬6「なぁ、なんでこいつら喋らないの?
　なぁ、何で?絶対ケンカ売ってるでしょww」

弟『…ごめんなさい』

犬4「……」

犬3「いい加減にしろよ、犬6!」

犬6「うるせー、勝手に言ってろ偽善犬」

犬5『そんな言葉はじめて聞いた』

犬4「なぁ、ジッペイさん」ｺｿｯ

弟『何?』

犬4「あんな奴等な、ほっときーや?
　ただ、ジッペイさん達の人気に嫉妬してるだけやねんて」

弟『…声が出るのなら、人気なんていらないよ……』

犬4「…うん、言いたいことはそれだけやねん、何かごめんな」

弟『犬4さん、ありがとう…』

犬3「今、犬4誰としゃべってたの?」

犬4「いやぁ、誰とも喋ってへんで。
　独り言や、独り言」

犬3「そうか、ならいいけど。
　てっきり幽霊でも見えたのかと思ってな」

犬2「ゆっ、幽霊ですかーっ!?」ﾋﾞｸｯ

犬7「大丈夫だよぉ、独り言だって言ってるんだし」

犬2「そう…ですよね」

犬1「でも、こんなに涼しかったら、幽霊でも出そうだね。なんちって」

犬2「ひぇぇぇっ!!」ﾋﾞｸｯ

犬1「冗談冗談w」

弟『くすっ…』ﾌﾌ

(´ ; д ; `)

犬1「わー、見てみて!景色きれいだよぉ」

犬6「けっ、景色なんかどーだっていいんだよ」

犬3「ぅお、ホントだ。超きれい」

犬4「ほら、ジッペイさんも」ｸｲｸｲ

弟『う、うん……』ﾃｸﾃｸ

弟『…』ﾁﾗｯ

弟『わぁぁ…!!』

犬4「綺麗ですやろ?」

弟『うん、とっても綺麗!』

犬2「綺麗…」

犬7「あれは海ですかね?湖ですかね?」

犬5「私、海がいいなぁ」

犬3「いや、あれどう見ても川だろ」

犬5「えぇー、そーなの!?」

犬2「おおきな川ですね…」

犬3「俺等が小さいだけだ」

弟『…そうだ。
　兄ちゃんも一緒に･････ー』

ｹﾞｼｯ

犬6「へっ、スキありー♪」

弟『っ痛…!』

犬6「どこまで耐えられるかなー♪」ﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯ

弟『い、痛い…痛いよぉっ…』ﾎﾟﾛﾘ

弟『助けてっ…』

犬123457「ホントに綺麗ですねー」

犬6「へっ、お前に味方なんていねーんだよっ
　さっさと喋ろよっ!!」ﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯ

弟『…ふぇ…っ兄ちゃ…』

ｹﾞｼｯ

犬6「痛ぇっ!!」

兄『俺の弟に何してる』

弟『兄ちゃん…!!』

本当はエアコンつけてなかったらしいよ

>>7
つけてたけど、事故で消えたらしいよ

兄『ぶっ殺すぞ、てめえ』

犬6「あァﾞ?なんだてめ･･･ー」

ﾊﾞｷｯ

犬6「痛えっ!!!」

ﾊﾞｷｯ

弟『兄ちゃん、やめてっやめてっ』ｶﾞｼｯ

兄『…』ﾊﾞｷｯﾊﾞｷｯ

犬6「痛えっ、痛ぇよっ!!」

犬1「? ……い、犬6くん!?」Σ

犬4「な、何してはりますの!ジッペイさん?!」

犬6「」瀕死状態

犬3「……い、犬殺しっ…!!」

犬2「犬6さん…?
　起きて、起きてよ!!」

弟『み、みんな…待って。違うんだ』ｱｾｱｾ

兄『…』

犬7「…嫌です、死にたくないです…!!」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

犬4「…」

弟『犬4くん…』ﾁﾗｯ

犬4「…!!」ﾌｲｯ

弟『犬4くん…』ﾎﾟﾛﾘ

犬1「最低っ」

犬5「いくら何でもこれはっ…」

犬7「どうしてこんなことをっ」

弟『もう…嫌だ、』

弟『しにたい』

ﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟｰ

犬3「ん、何だ今の音…」ｷｮﾛｷｮﾛ

犬2「そ、そういえば、全然気付かなかったけど
　車、止まってる…?」

兄『……!!』

弟『なんか、すごく暑い…』

犬7「何ですか、これ…この暑さ…」

犬4「焼けるように暑い…」

兄『クーラーが何らかの衝撃で消えたらしい』

弟『…ク、クーラーが…!?』

兄『このままだと、全員死ぬぞ!』ﾀﾀﾀｯ

弟『どうするの、兄ちゃん』

兄『どうすることも出来ないだろ』

弟『どうしてっ･･･ー』

兄『声が出ないから、吠えることも出来ない
　他の奴等に伝えることも出来ない』

弟『…あ』

兄『何より、今は信頼されていない』

弟『……』

犬2「……暑い、暑いです…」ｸﾞｯﾀﾘ

兄『…くそっ、このドアが開けばっ』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

弟『兄ちゃん、俺もやるよっ』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

兄『悪いな、』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

犬4「ジッペイさんたち…」

犬7「ダメです、死にます…」ｸﾞｯﾀﾘ

犬5「……嫌だ…、死にたくない…っ
　死にたくないよぉっ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

犬1「……い、犬3…」ﾊｱﾊｱ

犬3「……なんだ?…」ﾊｱﾊｱ

犬1「俺の日傘になってくれ、…」ﾊｱﾊｱ

犬3「……は…?何言って･･･ー」

ｸﾞｲｯ

犬1「ごめんね、ごめんね、犬3」

犬3「ぅああﾞあああああああっああああっ!!!
　暑い、暑いっ、暑いっ!!!!」

犬1「ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね」

犬3「」

犬2「水、…水を…」ﾊｱﾊｱ

犬7「……あつ、い、あ…い」ﾊｱﾊｱ

犬5「やだ、やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
　死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない」

兄『くそっ…開け!開けっ』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

弟『……僕だ、僕が悪いんだ…』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

兄『……弟?』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

弟『俺が、しにたいって思ったから
　だから…こんなことにっ………』ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

兄『…お前は関係無い』ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ

弟『……僕が、悪いん、だ…』ﾊﾞﾀｯ

兄『!! 弟!!!!!』ﾕｻﾕｻ

弟『……ごめんね、兄ちゃん
　本当にごめんね…』

兄『何言ってんだよ、お前は何も悪くないっ』

兄『悪いのは人間だっ!!俺達の声を奪い、こんな所で犬だけにして自分達は涼しいところで遊んで……っ』

弟『……兄ちゃん、僕、スマイルキャラバン、
　結構、好きだったんだ』

兄『……』

弟『ダイスケ兄ちゃんと一緒に色んなところ行って
　いっぱい撫でられて
　すごい愛されてるなーって、あの時だけ実感できるんだ』

兄『…』

弟『……声帯を切られたって何さ、声が出なくなっただけ…』

弟『……そのことすら、ほとんどの人が知らない』

兄『…』

弟『……悔しいよ、兄ちゃん…。僕、すごく悔しい』

兄『俺もだよ』

弟『……最期に会いたかったな。みんなに』

弟『みんなの笑顔を、もう一度見たかったや…』

兄『……』

弟『もう、無理か』

兄『………』

弟『…僕達は何のために生まれてきたのかなって』

兄『…よくお前が言ってたよな』

弟『うん…、そしたら兄ちゃんはいつも…』

兄『…人を笑顔にするため。ただそれだけだって言ってた』

弟『……他にも、あるじゃない
　いろんな、いろんな楽しいこと。
　人間はたくさん持ってるはずなのに』

兄『さらに欲を持つことをやめない…
　その為なら、手段だって選ばない
　俺達の声なんて知ったこっちゃない』

弟『……』

兄『……』

弟『…でも、僕は』

弟『幸せだった』

兄『うん、幸せだった』

弟『…何が幸せだったのかは分かんないけど』

兄『……うん』

弟『……すごい楽しかったよね』

兄『弟に会えたから、それだけで幸せだ』

弟『……僕も。兄ちゃんに会えたから』ﾆｺ

兄『……』

弟『…』

兄『……弟』

弟『…』

兄『…………弟…っ』ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

弟『…兄ちゃん、…?』

兄『弟っ、いくな、死ぬなっ
　俺が代わりに死ぬからっ、だからっ』

弟『兄ちゃん、…』ｽｯ

兄『……なんだ?』


弟『ありがとう』



ﾊﾞﾀｯ

兄『……っ』

兄『弟、弟っ、なぁ』

弟『』

兄『……んで、っどうしてっ、こーなるんだっ…よっ……』ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

犬2「」

犬3「」

犬4「」

犬5「」

犬7「」

兄『……弟っ…』ｷﾞｭｯ

兄『………俺とお前は、来世でも兄弟だからな』

弟『』

兄『絶対だ、』ｷﾞｭｯ

ｶﾞﾁｬｯ

飼い主「おー、暑ぃ暑ぃ……
　クーラー……あれ、?止まってる」

友達「ね、ねぇっ!!犬死んでるんだけどっ!!!!」

飼い主「えっ?!なんでっ、なんでっ?!」

友達「…分かんない…けど…」

飼い主「あ、でも二匹動いた」

犬1「わんわんわんっ!!」

犬4「わ…ん、?」

飼い主「早く、動物病院いこ」ﾀﾀﾀｯ

友達「うん、」ﾀﾀﾀｯ

ﾊﾞﾀﾝｯ

ﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟｰ

ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛ…


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兄･弟「…………」

テレビ「あのジッペイが死んでからもう、一年が過ぎようとしています」

兄「……………わんっ、わんっわんっわんっ」

子「……?どーかしたの?タロー」

テレビ「…映画ジッペイが公開になります」

兄「…わんっ、わんわんわんわんわんわんっ!!!!わんっ、わんっ」

子「どうしたのさ、タロー!」

弟「わんっ、わんわんわんっわんっ」

子「ジローまで…」

テレビ「これまでのジッペイのスマイルキャラバンの記録を映画にしました」

兄「わんっ、わんっわんっわんっ!!!!
　わんっわんっ」

子「……ママー、タローが!タローがっ!!」ﾀﾀﾀｯ

兄「わんっわんわんわんわんわんっわんっ、わんっわんわんわんわんっ、わんっ」

母「……うるさいわねぇ」

父「いっそ、声帯を切ろうか」

弟「わんっ!?わんわんわんわんっ、わんっわんっ」

子「ふぇぇっ、こわいよおぉ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

母「…それがいいかもしれないわね」

父「捨てるより、よっぽどマシさ」

兄「わんっ、わんわんわんっ」

弟「わんわんっ、わんっ、わんわんっ」

父「じゃあ明日、動物病院に行ってくるよ」

母「えぇ、お願い」


END

本当にありそうでこわい
乙