>>960
大学にポストの空きができると,大学は新規採用を募集します.といっても求職情報誌に募集広告を出すのではなくて,学会誌や専門家向けのホームページなどに採用広告を出すので,一般の方の目にはほとんどふれません.これを公募といいます.そこには職場や条件(教授・准教授の別や専門分野など)が記載されますが,不思議なことに給与面の情報は一切記載されません.大学の教員はそういうことには関心がない方が多いのです
転勤を希望している教員は,それを見て応募します.通常は研究や教育業績の一覧と履歴書などを送り書類審査を受け,さらに面接などを繰り返して「内定」となります.さすがに採用試験はしませんが,面接ではかなりシビアな質問がでます.また研究業績を見ればその方の能力は大体分かってしまうので,採用試験は不要ともいえます.大学の場合には内定となっても,その後さらに学内で投票などもあり,決まるまでには数ヶ月かかります.また倍率もかなり高くて,最低でも10倍,通常は30~50倍になります.
「転勤」が決まりますと,今はどの大学も(国立大も含めて)独立した法人となっていますので,旧職場の大学を辞めて,新大学と雇用手続きを結びます.以前は辞める際にも「辞めることを許可する」投票などがあったのですが,これも法人化によって意味がないものとなりました.手続きそのものは普通の転職と同じです.ただ国立大学間の転職の場合には,手続きはかなり簡素で保険や年金の継続もスムーズなので,気分的には転勤に近いですね.
以上が通常のプロセスですが,東京大学や京都大学などは,実はあまり公募はしません.これらの有名大学は,大学側からほしい教員を一本釣りするようですね.