GDP(国内総生産)はフィリピン統計庁(PSA)が四半期ごとに発表しているが、今年度の第2四半期(4月~6月)の速報値によると、前年同期比11.8%の増加となった。
この数値はアキノ(母)政権時代の1988年第4四半期に記録した12%以来の数字で、過去32年間で最高となった。
GDPがプラスになったのは、2019年第4四半期(10月~12月)に6.6%を記録した以来1年半ぶりで、これ以降は今期まで相次ぐ新型コロナ防疫対策によってGDPは落ち込んだ。
新型コロナが猛威を振るう前の2019年第4四半期(10月~12月)までのGDPは順調な伸びを見せていたが、2020年第1四半期(1月~3月)に0.7%のマイナスを記録してからは第2四半期-16.9%。
第3四半期-11.5%、第4四半期-8.3%と落ち込み、通年で-9.6%と過去最悪を記録した。
GDP伸長に寄与した業種は建設業(25.7%増)、製造業(22.3%増)で、これはコロナ禍で止まっていた建設現場、生産工場操業が以前のように回復したことを示している。
しかし、経済専門家によると今回の数字は前年同期がコロナ禍で非常に落ち込んだための反動であり、このまま経済活動が回復するには至らないと見ている。
特に7月から8月にかけて新型コロナの新規感染者は毎日7000人前後の高止まり状態になっていて、首都圏などでは一時は緩められた防疫体制が再び強化されて、経済活動は落ち込むことが予想されている。
PSAのGDP急増の発表にもかかわらず、フィリピン証券取引所の株価指数は0.14%安で引けていて、投資家はGDPの数値については醒めた目でいることが明らかになっている。
一方、政府の経済担当閣僚はこの数値を楽観的に見ていて、新型コロナに対処しながら経済を復活させていると豪語しているが、識者からは新型コロナ対策を疎かにした結果のGDP急増であり、国民の命を軽んじていると批判されている。
【日時】2021年08月12日(木) 12:04
【提供】Philippines Inside News