かつては「死にいたる病」として恐れられていた性感染症の梅毒患者が、近年稀に見るペースで増加を続けている。
患者のうち4割近くを占める東京都内では、過去10年で10倍以上に急増したことが都と国立感染症研究所の分析で明らかになった。
患者の増加に伴って、妊娠中の感染で先天梅毒で生まれる症例も増えているという。
国立感染症研究所によると、2016年に国内の医療機関から報告があった梅毒患者数は4518人。
このうち、東京都内の患者数は37%を占める1673人。
男女別では、男性が7割以上の1218人、女性は455人で、年齢別に見ると男性の中央値が39歳、女性は27歳だった。
東京都では2011年以降、男女ともに梅毒の感染が急増しており、2007年の162人と比較すると、患者数は実に10.3倍となっている。
また、男性患者が大多数を占めるのは変わらないが、患者全体に占める女性の割合が10年前より増えていて、とりわけ妊娠可能な15歳から24歳までの若年層が多くなっている。
妊婦が感染することで、先天梅毒児が生まれた症例も東京都では2件、全国的には16件報告されていて、こちらも増加傾向にあるという。
先天梅毒は、出産の4週間前までに治療を終わらせることで、赤ちゃんの感染を予防できるが、妊婦健診を受けていなかったり、貧困や低学歴、薬物やアルコール中毒、他の性感染症の既往歴があったりすると、感染リスクが高くなることが調査で明らかになっている。
感染研によると、昨年国内で報告があった先天梅毒の赤ちゃんを産んだ母親7人に聞き取り調査した結果、全員が出産後4週間までの新生児期に診断され、このうち4人は早産だった。
7人の母親のうち6人が日本人で、10代が2人、20代は3人でいずれも未婚者で、生活保護の受給歴やクラミジアに感染。
妊娠中に注意すべき性感染症に対する知識が乏しかったという。
感染研は、性感染症に関する知識の普及や啓発活動によって、感染拡大を予防する必要性を訴えている。
【日時】2017年03月24日(金) 13:33
【提供】ハザードラボ