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1.公然わいせつの要件
銭湯で手淫や口淫などの性行為をした場合は、公然わいせつ罪が成立します。公然わいせつ罪の要件は①公然と②わいせつな行為をすることです。
2.「公然」について
「公然」とは不特定または多数の人が認識できる状態をいいます。実際に認識していなくても、認識できる状態であれば公然の要件を満たします。
銭湯に他の客がいれば、性行為に気づかれていなかったとしても、いつ気づかれてもおかしくない状況ですので、公然の要件を満たします。
たまたま浴場に他の客が一人もいなかったとしても、営業時間内である限り、客が浴場に入ってくる可能性があるため、やはり公然の要件を満たします。
3.「わいせつ」について
公然わいせつ罪の「わいせつ」とは、性欲を刺激・興奮・満足させる行為で、一般人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいいますが、手淫や口淫は、このような意味でのわいせつ行為にあたります。
そのため、銭湯で手淫や口淫をした場合は、公然わいせつ罪が成立します。
銭湯での公然わいせつで検挙された場合、検察庁に書類送検されることになります。書類送検とは、被疑者の身柄を拘束せず、捜査資料だけを警察から検察に引き継ぐことです。
書類送検のタイミングは、事件が発生した日から2,3か月後になることが多いです。書類送検された時点で担当の検察官が決まります。
その後、検察官から呼出しがあり、検察庁で取調べを受けることになります。何も弁護活動をしていなければ、検察官から略式手続の説明を受け、その後、簡易裁判所に略式起訴され、罰金になることが多いです。
この場合、被疑者は裁判所に一度も行く必要がなく、裁判を受けたという実感が持てないと思われますが、罰金も刑罰の一種ですので、前科がつくことになります。