「本土の子どもたちにくらべると,島の子の知能は,一般的にかなり劣っている。学力を伸ばすことのむずかしい最大の障壁と思われる。 」
「知能偏差値の平均(M)は, 39ぐらいで学級の30%をこえるものに,精神薄弱児のうたがいがよせられる。知能皮の分布もおおむね異常である」
ところでそのような話をきき報告書をよむたびに 「はたして島の子の知能皮がそのように劣るのであろうか。知能偏差値の平均が39とすれば,離島の児童生徒では 40^ちかくのもの生徒に,精神薄弱のうたがいがよせられることになる。特殊学級をいくらつくっても,追っつかないということになるが」と考え,語って来たム
附属小学校の研究公開に参加した離島の女教師が卒直な印象として「附小の子どもと離島の子どもにはかくだんの差異がある。私たちのところでは,正規の学習内容を対象とすれば, 30%
ぐらいの上位群にだけ可能となる。約30%の下位群は,手ごたえなしといえる子どもである」と語っていた。附小児童の知能偏差値平均は, 60をこえており, 45を下まわるものはまれである。離島
児の平均が39とすればこの教師の告白が,肯定されることになる。
しかし島の子どもの知能がひくいと語る言葉には,学力との連想がはたらいているのではないかと思われる
離島の全般的な様相からいえば,本土,とくに都市部のものとくらべる時,生活経験が貧弱である,学習環境にめぐまれない,父母の教養や理解がおとる,社会的な圧力がひくいの
で安易にながれやすいなどという多くの要因が,学習のさまたげになるというわけである。
Under
achieverのいることはよく理解していても,いわゆる学力がのびなやめば,意識的無意識的に知能度のひくさによると認知しがちである。
教職の専門家でない一父母たちでは,学力と知能の混同はさけがたいことであろう。