一畑百貨店の閉店を受け、米子市西福原2丁目の百貨店「米子しんまち天満屋」が、松江市内に外商部門の拠点を設けることが9日、分かった。一畑百貨店が立地していたJR松江駅(松江市朝日町)近くのテナントビルを賃借して事務所を開き、一畑が商圏としていた島根県東部を中心に営業攻勢をかける。県境をまたいで進出し、百貨店空白県となった島根の顧客を取り込む。
一畑百貨店跡から数十メートルほど南方にある2階建ての空きビルに入居。「天満屋松江ショップ」の店名を掲げ、外商員の拠点とするほか、商品の注文販売や中元、歳暮などの贈答品の販売機能を持たせる計画。17日に開業する。
開業に合わせ、米子しんまち天満屋は従来計10人だった外商員を13人に増員。このうち5人を松江ショップに重点配置し、松江、出雲両市など県東部を中心に顧客開拓する。外商員のうち3人は元一畑従業員で、ノウハウや人脈を生かしてもらう考えだ。松江ショップは初年度、5億円の売り上げを目指す。
1月の一畑閉店後、米子しんまち天満屋の売り場では島根県東部方面から高級化粧品などを求める顧客が増加。2月は化粧品が30%増、美術・宝飾品が14%増となった。同店サポートチームリーダーの岡辺俊幸部長は「島根には百貨店で扱う質の高い商品を求める方がいる。一畑が取り扱っていなかったものも含めて商品を提案し、顧客を拡大したい」と話した。
一畑の閉店に伴い、JU米子高島屋(米子市角盤町1丁目)も松江市内への営業拠点の立地を模索している。取材に対し、同社の川上幸美販売促進・宣伝担当課長は「(松江市内での展開を)検討している」とした。
一畑百貨店は23年3月期に43億円を売り上げた。店舗の消失で宙に浮いた消費を巡って県内外の小売店が競合している。