>>911
A
労働安全衛生法の両罰規定により社長も罰則の対象となる
フォークリフトは、商品・製品・原材料等の移動・保管作業の現場で広く使われています。運転業務には、特別教育修了者・技能講習修了者など一定の要件を満たす人を従事させる必要があります。
積載荷重1トン未満の場合、「事業者は、特別教育を行わなければならない」(安衛法第59条第3項)、1トン以上の場合、「事業者は、技能講習修了者など有資格者でなければ業務に就かせてはならない」(同第61条第1項)と定められています。いずれの場合も、違反者には「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられます(同第119条)。安衛法第59条第3項(特別教育の実施)、同第61条第1項(有資格者の選任)ともに、法文上、義務の履行者は「事業者」となっています。
事業者については、安衛法第2条第3号で「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう」と定義されています。具体的には、個人企業にあっては事業主個人、会社その他の法人の場合には法人そのものを指すと解されています。
そうすると、法人企業で違反が発生したときは、直接的に責任を追及されるのは社長個人ではなく、法人であるという理屈になります。
しかし、安衛法には、別にいわゆる「両罰規定」が置かれています。第122条では、「法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用者その他の従業者が違反行為をしたときは、その法人または人に対しても本条の罰金刑を科する」と定めています。