カムチャッカ半島のカンバルニー火山が数世紀ぶりに噴火したニュースは連日お伝えしているとおりだが、周辺では、噴火の衝撃なのか、冬眠中のクマが巣穴から相次いで飛び出すようすが報告された。
ロシア環境省クロノツキー国家自然保護区は29日、カンバルニー山で爆発的噴火が起きた今月24日以降、クリル湖周辺に生息する複数のヒグマが相次いで巣穴から出てきており、そのうち、2匹の子グマを連れた母グマも確認したと発表した。
カムチャッカ半島の先端部に位置するクリル湖は、古代の火山噴火でできた直径7キロほどのカルデラ湖で、ロシアで最もクマが多い自然豊かな地域。
日本人写真家の星野道夫さんが撮影中にクマに襲われて亡くなったのもこの場所だ。
野生生物保全地区に指定されているため、日頃から自然保護監視官がパトロールしているが、先週まではまったく姿を表さなかったヒグマたちが、噴火後に急に姿を現すようになったという。
「幼い子グマを連れたふた組の親子と、大人のオスを目撃しました。3日前に同じ場所を訪れた際には、ヒグマの気配すら感じなかったのに…」と話すのは、リヤーナ・ヴァラブスカヤさん。
当サイトに登場するカンバルニー火山の写真を撮影しているのもこの方だ。
火山噴火が冬眠中の野生動物に及ぼす影響について心配するリヤーナさんや地元住民に対して、ロシア科学アカデミーの専門家、アレクサンダー・ニカノロブさんは「ヒグマは通常、3月下旬から4月上旬に冬眠穴から出てきますから、噴火とは関係がないとは思いますが、巣穴の中で火山性地震の揺れは感じているでしょうから、それが目覚ましだったと考えたら面白いですね」と話している。
【日時】2017年03月30日(木) 10:28
【提供】ハザードラボ