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介護疲れなどの殺人や心中「8日に1件」 60歳以上、大学教授が集計
約40年介護してきた妻を車椅子ごと、夫が海に突き落として殺害した現場。この事件の公判で、夫は「一緒に死のうとしたが、死にきれなかった」と述べた=神奈川県大磯町で2023年4月5日、園部仁史撮影
60歳以上の当事者が死亡し、介護疲れや将来への悲観などが原因とされる親族間での殺人や無理心中事件が2021年までの10年間で、全国で少なくとも計437件(死者443人)あったことが判明した。平均すると、8日に1件発生していることになる。日本福祉大の湯原悦子教授(司法福祉論)が、全国の報道機関が報じたものを集計した。当事者が死亡したケースを集計しており、未遂事件などを含めると頻度はさらに高くなるとみられる。
湯原教授は、毎日新聞など全国38紙の1996年以降の記事を基に、在宅介護を受ける60歳以上の要介護者と、介護する親族による殺人や心中事件を集計した。当事者の年齢や家族関係などについても確認した。
当事者の関係別では、夫婦214人▽親子(義父母含む)206人▽兄弟姉妹13人▽祖父母・孫7人▽その他親族3人――と続いた。要介護者と介護する側(ケアラー)がともに60歳以上だったケースは約65%に上った。
関係者の供述や遺書、公判での証言などを報じる記事を基に、湯原教授は事件の背景についても分析した。それによると、近年は介護疲れに加え、介護する側(ケアラー)自身も高齢化して体力面や精神面、経済面などで行き詰まったり、困窮を一人で抱え込んだりして将来を悲観し、要介護者を手にかけ、自身も自殺しようとする無理心中事件が目立つという。