生活交通維持へ島根県PT 担い手確保、利用促進策検討
慢性的なドライバー不足で路線バスの減便や廃止が相次ぐ中、島根県が10月、バスやタクシーなど日常生活を支える交通を維持するためのプロジェクトチーム(PT)を発足させる。関係者が集まり、担い手不足や事業継続に向けた対応策を練り、来年9月に取りまとめを目指す。
公共交通を巡る情勢は岐路に立っている。これまでは利用者の減少が最大の課題で、行政が赤字分を穴埋めして体制を維持してきた。しかし、近年はドライバー不足という事業者側の問題が顕在化。県内で減便や路線廃止の方針が相次いで示されている。
県内で路線バスを運行する全3事業者の乗務員数は減少傾向にあり、他の業界と比較した平均年齢の高さや給与の低さも重なって、さらなる減便や路線廃止が懸念される。
PTでは、ドライバーの処遇改善といった担い手確保策のほか、貨客混載や観光需要の取り込みなど事業継続に向けた利用促進策を練る。路線バスだけでなく、市町村がタクシー事業者に運行を委託するコミュニティバスや乗合タクシーなどとの役割分担についても議論する。
県交通対策課が事務局を担い、メンバーは市町村の交通担当職員、国土交通省中国運輸局、県内のバス・タクシー事業者が加入する県旅客自動車協会(松江市西川津町)、交通コンサルタント会社で構成する。
10月の初会合以降、来年3月に中間取りまとめを行い、同9月の最終とりまとめにつなげる。県交通対策課の山影一茂課長は「差し迫った問題と捉えている。地域交通をどのように確保するか、関係者で知恵を出し合いたい」と話した。