中止論高まり、抗議激化警戒=五輪警備、準備大詰めに―警視庁
時事通信 / 2021年7月3日 10時37分
東京五輪の開幕まで3週間を切り、競技会場や周辺での警備の準備が大詰めを迎えている。観客を入れての開催方針は決まったが、中止や無観客を求める声はなお根強く、警視庁は抗議活動の激化を警戒。安全保障の専門家は「五輪を中止させるための無差別な暴力が生じる可能性もある」と警鐘を鳴らす。
新型コロナウイルスの収束が見通せない中、警備態勢に影響を及ぼす観客の有無はなかなか決まらなかった。警視庁は観客無制限での開催を想定し、テロ事案への対処や暴徒制圧といった警備訓練を行うなど準備を進めてきた。
開幕の約1カ月前、観客数について最大1万人などとする方針がようやく決まると、同庁では警視総監をはじめとする幹部らが会議を開き、五輪の警備方針や態勢について確認。16府県からの応援部隊も東京入りした。
一方、五輪開催への反対意見は依然衰えていない。開幕まで1カ月に迫った先月23日、東京都庁周辺では開催中止を求める市民団体のデモが行われた。400人以上が結集したとされ、ある警察幹部は「予想外に多かった」と驚きを隠さない。今月23日の開会式当日にもデモが予定されているといい、警視庁は警戒を続けている。
国際安全保障が専門の和田大樹・清和大講師(非常勤)は、反五輪を背景としたテロ行為の可能性に言及。「新型コロナによって国民が分断されている。今は反五輪の風潮が強く、開催を阻止するために無差別な暴力行為が起きる可能性はある」と危惧する。
その上で、「人が密集する場所が狙われやすく、新型コロナ対策と同様、『密』にならないことが重要」と指摘。「テロ対策をやっても、テロの危険性が国民に意識されなければ効果は出ない。しっかり情報発信し、官民が連携すべきだ」と述べた。
[時事通信社]