>>957
面識の無い男と側近の女を後部座席に座らせて、助手席には誰も座らせなかった。
特に意味はなかったが、客人としての安全確保のためだった。
後部座席の2人は酒を飲んでいて、面識のない男は酒の力を借りて陽気に口説いてる。
俺とは面識がないだけに大胆だ。
側近の女はそれとなくかわしながら、男が降りる地点に着いた。
口惜しそうだったけど仕方がない、着いてしまったのだから降りるしかない。
どうせ明日会うのだろうから、続きは明日にすればいいのではと思いながら男を降ろしたあと、さっさと車を走らせた。
この時点で、この側近の女と俺は業務での関係で知り合って、たまたま同じ年齢だということから、徐々にタメ口で話ができる間柄になっていて、そのおかげで円滑に業務が出来やすくなっていた。
わりとプライベートなところまで知っていたが、それはこの側近の女の女社長からの情報で、誠実に仕事をしていた証であった。
お世辞でも美人だとは思わなかったが、可愛い女であったことから、女社長に気に入られ、誰にでも可愛いがられていて、俺も嫌いなタイプだとは思わなかった。